脳の可能性 無意識を意識してみる
(ライターFT)
■頭への衝撃がきっかけ
米国の10歳の少年オーランド・セレルはある日、野球のボールを頭に受けて気を失った。彼はその後、事故後のすべての日についてその日が何曜日であり、どんな天気だったかを正確に思い出せるようになった。経験した毎日の出来事も詳細に再現できる。
コロラド州で企業トレーナーをしていたデレク・アマートは40歳当時の2006年、プールの浅い場所に頭から飛び込んで深刻な脳震盪(のうしんとう)を起こして片方の耳が不自由になった。
外部から脳を電気や磁気によって刺激することによってサヴァンのような優れた能力を引き出す試みも注目されている。画像は経頭蓋磁気刺激のイメージ=AXS Biomedical Animation Studio
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外部から脳を電気や磁気によって刺激することによってサヴァンのような優れた能力を引き出す試みも注目されている。画像は経頭蓋磁気刺激のイメージ=AXS Biomedical Animation Studio
退院後、どういうわけか、それまで触ったこともなかったピアノに強い興味を覚えた。彼の頭の中では黒と白の小さな点が浮かび、それをピアノで音符に置き換えられるようになった。彼は現在、作曲・演奏・レコーディングを職業にしている。
これらは「後天性サヴァン症候群」と診断された人たちの例だ。通常のサヴァン症候群は、多くは言語や対人関係などの能力に障害がみられるものの、音楽や芸術、数学、記憶といった分野で並外れた才能を生まれながらに示す。これに対して後天性のサヴァンは、2人の例のように、事故などで頭部に損傷を負い、それがきっかけとなってそれまで全く見られなかった才能が開花するのだ。
なぜこのようなことが起きるのか、詳しいことはわかっていないが、ヒントとなる脳の症例がある。認知症の中でも前頭側頭型認知症(FTD)という病気の患者がサヴァンのような能力を示す例が報告されている。この病気はアルツハイマー病とは違い、侵されるのは前頭葉だけで、脳の他の場所は正常なままだ。
■ブレーキが外れる?
FTDでは特に脳の左前側頭領域と眼窩(がんか)前頭皮質がよく侵される。この2つの領域は後頭部から送られてくる視覚系の活動を抑制する働きをしている。FTDを患うとこうしたブレーキ役が解除され、芸術的な感性が生じるようだ。
また一部の脳領域の活動低下を埋め合わせるように、他の領域の活動が高まることも理由の一つとみられている。
こうした隠れた能力を事故などでなく、人為的に導き出すことはできないのだろうか。その有力な方法と考えられているのが、電気や磁気によって脳の特定の部分を外部から刺激するやり方だ。
オーストラリア・シドニー大学の研究者らは、頭皮から弱い直流電流を流す経頭蓋電気刺激(tDCS)という手法で、被験者にサヴァンのような能力を誘発することに成功した。こうした手法の安全性が確認されれば、能力開発や精神疾患の治療に今後広く使われるようになりそうだ。
(詳細は25日発売の日経サイエンス2月号に掲載)
🌟ある日「天才」が目覚める 脳が秘める無限の可能性 日本経済新聞
米国の10歳の少年オーランド・セレルはある日、野球のボールを頭に受けて気を失った。彼はその後、事故後のすべての日についてその日が何曜日であり、どんな天気だったかを正確に思い出せるようになった。経験した毎日の出来事も詳細に再現できる。
コロラド州で企業トレーナーをしていたデレク・アマートは40歳当時の2006年、プールの浅い場所に頭から飛び込んで深刻な脳震盪(のうしんとう)を起こして片方の耳が不自由になった。
外部から脳を電気や磁気によって刺激することによってサヴァンのような優れた能力を引き出す試みも注目されている。画像は経頭蓋磁気刺激のイメージ=AXS Biomedical Animation Studio
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外部から脳を電気や磁気によって刺激することによってサヴァンのような優れた能力を引き出す試みも注目されている。画像は経頭蓋磁気刺激のイメージ=AXS Biomedical Animation Studio
退院後、どういうわけか、それまで触ったこともなかったピアノに強い興味を覚えた。彼の頭の中では黒と白の小さな点が浮かび、それをピアノで音符に置き換えられるようになった。彼は現在、作曲・演奏・レコーディングを職業にしている。
これらは「後天性サヴァン症候群」と診断された人たちの例だ。通常のサヴァン症候群は、多くは言語や対人関係などの能力に障害がみられるものの、音楽や芸術、数学、記憶といった分野で並外れた才能を生まれながらに示す。これに対して後天性のサヴァンは、2人の例のように、事故などで頭部に損傷を負い、それがきっかけとなってそれまで全く見られなかった才能が開花するのだ。
なぜこのようなことが起きるのか、詳しいことはわかっていないが、ヒントとなる脳の症例がある。認知症の中でも前頭側頭型認知症(FTD)という病気の患者がサヴァンのような能力を示す例が報告されている。この病気はアルツハイマー病とは違い、侵されるのは前頭葉だけで、脳の他の場所は正常なままだ。
■ブレーキが外れる?
FTDでは特に脳の左前側頭領域と眼窩(がんか)前頭皮質がよく侵される。この2つの領域は後頭部から送られてくる視覚系の活動を抑制する働きをしている。FTDを患うとこうしたブレーキ役が解除され、芸術的な感性が生じるようだ。
また一部の脳領域の活動低下を埋め合わせるように、他の領域の活動が高まることも理由の一つとみられている。
こうした隠れた能力を事故などでなく、人為的に導き出すことはできないのだろうか。その有力な方法と考えられているのが、電気や磁気によって脳の特定の部分を外部から刺激するやり方だ。
オーストラリア・シドニー大学の研究者らは、頭皮から弱い直流電流を流す経頭蓋電気刺激(tDCS)という手法で、被験者にサヴァンのような能力を誘発することに成功した。こうした手法の安全性が確認されれば、能力開発や精神疾患の治療に今後広く使われるようになりそうだ。
(詳細は25日発売の日経サイエンス2月号に掲載)
🌟ある日「天才」が目覚める 脳が秘める無限の可能性 日本経済新聞
無意識領域の活用を行う事で、自分がストレスを感じているかどうかが明確になるのではないかと言われています。例えば、「わ!」と大きな声を出したとき、びくっとする。これは無意識の反応で、びっくりした自分を「びっくりしたなあ」と自分で認識できます。
脳科学的に言いますと、無意識の反応と客観的な認識とで脳の違った部位を使っており、この状態こそがフィーリングという言葉で示される「感じている状態」になります。
フィーリングというのは、無意識の反応と客観的な認識とで脳の違った部位を使っており、無意識の状況を客観的に考えることがフィーリングという感情になります。こうした無意識を意識することで自身のストレスを感じることができます。
うつ病になる人は、自分自身でストレスと思っていないことが多く、無意識でストレスを感じており、そのままにしているのです。そのストレスに気づくことでその感情についての対策をとることができます。そうすると鬱という疾患の対策が取れるということになるのです。
少し難しいですが、脳内で自分の感情(フィーリング)を知ることで鬱などの疾患に陥る可能性が低くなります。
客観的に感情(フィーリング)を感じるということは非常に難しく、訓練が必要になります。
無意識を意識するということは、無意識に気がつかないとなりません。
「わ!」と大きな声を出され、びっくりした時ですが、
「びっくりしたぁ〜〜」
で終わります。
そのビックリした時の感情を思い返してみて欲しいのです。
その感情(フィーリング)が驚きという感情で、普段は何も考えずにビックりしたという感情は無意識下に送り込まれてしまいます。
それをそのまま終わらせないのが訓練になります。
こうした訓練を続けることで、クリエイティビティな脳の領域が活性化します。
簡単にいうと気づく力になります。気づく力がつけばつくほど脳は活性化していきます。
どのように気づくのか?
非言語を言語化する。
野球選手のイチローの言葉です。
彼は自分自身がプレー中に何をどう感じていてどう打てているのかを言語化できたときに超一流になれたと発言しています。
もっと簡単に非言語を言語化するということは、自転車の乗り方を言葉で説明するのです。
ゲームのクリアのやり方でも構いません。
普段、何気なく行っている行動を言語化することで、行動に移しやすくなります。
こうした無意識を意識することで、脳は更に発達し、日々の生活に変化が訪れるはずです。
より良い人生を送るためには、脳を活性化させ、無限の可能性を切り開いていきたいですね。