いま、ハーレムで一番旬なTシャツたち :: デイリーSKIN

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[2008年06月27日00時00分00秒]
いま、ハーレムで一番旬なTシャツたち

本日から金曜日の担当になったナカムラアキツさん!
NY,ハーレム在住の新進気鋭のイラストレーター&デザイナー

アメリカNYの日常と出来事などをリアルタイムでお届けする

 『つれづれハーレム雑記』

 毎週金曜日が楽しみになりますね!

もちろんTシャツデザインでSKINに新規参入してくれています!

 彼女のデザインはNY流!

 記念すべき第一回目のデイリーSKINは必見!

 見逃すな!






『ハーレム』と聞いたら何を想像する?

女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)

黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。
今日はいったいどんなことが起こっているか、お届けにあがりましてよ。

栄えある一回目はTシャツについてです。(ライター:ナカムラアキツ)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

世界広しといえども、アメリカ人ほどTシャツが好きな国民はいないんじゃないかと思う。生後まもない赤ちゃんから棺桶に片足つっこんでいる年配の人まで、みーんなTシャツを着ている。

でも、おおおおおっ、と目を見張るようなクールなかっちょいいデザインのTシャツを着ている人は、本当にまれ。着ている人たちの多くはヨーロッパ系の人たちが多くって、アメリカ人にはほとんどいない(笑)。

だって、自分の出身大学(もしくはお気に入り)のロゴが入った、センスもくそもないものをうれしそうに着ていたり、スタジアムに行って自分のチームを応援していないのに、お気に入りチームのTシャツを街中でフツーに着ていたり。

何よりもわからないのは、お気に入りキャラクターの顔が全面いっぱいにプリントされているTシャツを着ている大人が多いってこと!

小さい子どもがお気に入り番組のキャラクターTシャツを着ているのとなーんもかわらんやんかー。いい年こいた大人がいいのだろうかと、他人事ながら心配してしまうっていうのはウソだけど、なんなんだろうね、あの感覚。

で、またそういうのを着ている人たちが多いのが、この街ハーレムなのである。



ハーレムで今、なによりも誰よりも旬なのが、先日強力ライバルを破って正式に民主党大統領候補になった『バラク・オバマ』氏のTシャツ。もちろん彼の顔がどどどーんとプリントされたものがとくによろしい。


◆オバマひとりバージョン

シンプルで結構好き。
PROGRESSとは「前進」という意味。


こちらはストリートで売っていたやつ。



◆オバマとキング牧師バージョン

変化はやってくる。
やってくるといいなあと、切に願います。


オバマの演説はキング牧師を彷彿させると言われている。確かに彼の演説はうまい。そしてキング牧師の言った「I have a dream」のドリームを体現してるのがオバマじゃないのかという認識もあったり。

そんなオバマのキーワードは日本でもご存じのように「Change」。

なので、その二つのキーワードを駆使した、上のようなコラボTシャツが出てくるのだ。


◆オバマとキング牧師+マルコムXバージョン

夢を実現してくれる人たち。黒人の希望の星


が、そこに何故マルコムX?

ハーレムを始めとしたブラック・コミュニティー(黒人居住区)の大きな問題の一つに「父親不在」というのがある。
つまり、父親を知らずに育っている子どもたちが多いのだ(妊娠させて逃げちゃう人。刑務所に入っていたり、その理由はさまざまだけど、あまりいい理由はない)。父親を知らずに育っている男性に必要なのは、自分たちを正しき道に導いてくれる人たち。

自分たちを「間違った道(つまり、はらませるだけはらませて子どもを作るけれど、責任を取らない。ドラッグにおぼれる。仕事をしないなどなど)」を修正してくれる人たちが必要なのだ。

だって男性を育て上げるのには、女性一人では難しい。どんなにがんばったって、そこには「男子」の力が必要だから。

キング牧師
マルコムX
そしてバラク・オバマ

彼らに共通するのは「強力なリーダーシップ」。

そんなオバマのリーダーシップを求めているのは黒人のみならず、多くのアメリカ人もそう。

だってリーダーシップの「リ」の字もない馬鹿ブッシュに8年も牛耳られてきたんだもん、今度こそちゃんとした、世界とうまくやっていってくれる、そしてこのよどんだアメリカを再生させてくれるオバマにはみんなが期待するよ。

それにオバマが「黒人だから」というだけでなく、アメリカ人の多くは彼の中にある「公平さ」を評価していると言ってもいいだろう。
もちろん多くの黒人たちは、彼が大統領になることによって、黒人社会に多少の、今までにない変化がもたらされることを期待している。

あ、売っているのはTシャツだけじゃあ、ありません。
Tシャツ同様にアメリカ人男子がとくに手が離せないもの。


これまたストリートで売っています。10ドル。
他バージョンも違う場所で売っていた。


ハーレムの中では、バーバーショップ(バーバーショップは男性たちの井戸端会議所)。そして安い(化学調味料と砂糖がたくさん入って本家とは似ても似つかない)中華料理屋さんの窓にも支持を表すポスターが貼られている。


あたしたちはこういう安いチャイニーズを「チャイデリ」と呼んでいる。
デリは言ってみればコンビニのような存在。

もちろん、ヒップホップファッションを売っているお店もそう。

ちなみにこちらがハーレムにあるオバマ支持者たちの事務所。




今ではそう見かけなくなったけれど、まだヒラリーと指名を争っているとき、たくさんの人たちが、人種を問わずオバマ支持を表すワッペンやらシールを鞄や着ているものにつけていた。

今ではさすがに慣れたけれど、初めての大統領選挙の時(フロリダ疑惑の2000年ですが)日本人のあたしからすると、なんだか不思議な感じがした。

確かに小・中学時代(高校もか)自分の好きなタレントの写真を下敷きに挟んだり、シールをペンケースに貼ったり定期入れにいれたりしたことはあった。でも、顔がどかんとプリントしているTシャツを着たいかといわれたら、そっこーで引いていると思う。

アメリカという国は、応援することに関してはあたしたち日本人にはかなわないくらいのエネルギーとアイディアを持っていると思う。
だってチア・ガールっていうのがあるくらいだから。

なので彼らは何かを身につけることで「応援している、支持している」ということを周りにアピールして、同じ支持者と連帯して一つの、大きな目的に向かっていくんだと思う。

2001年の、同時多発テロのあとに星条旗を持って皆が皆「USA! USA!」と叫んでいるのをテレビで見たときには「なんじゃ、怖い!」と思ったけれど、そうやることで自分たちを奮い立たせ、ショックから早く立ち直り、前に進んで行こうという意思の表れだった(残念ながら、その進み方は全世界の期待をばっさりと裏切ったと思うけれど)。

そういう風に考えると、彼らがオバマ商品をはじめ、大学の名前の入ったものとか好きなチームのユニフォームを身につけているのは「かっこいい、クール」とはまったくかけ離れたものということが、よくわかる。

ブラック・コミュニティーの問題について、黒人が思っていることが理解できるあたしとしては、彼らがメッセージ性の強いTシャツを着たがるのはわかる。なので先に出したオバマにキング牧師だけでなくマルコムXまでも載せてしまった気持ちもよくわかる。

とはいっても、もうちょっと、こう、やっぱりデザインを考えて欲しいと思うのは、あたしが日本人だからなのかなあ。

ちなみにここで紹介したTシャツたち(それ以外のものも)、もちろん著作権なんて関係なし。でもって売れています。

いいのかなあ……。


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次回は「夏に飲むならこのジュース in ゲットーハーレム」についてです。
お楽しみ!

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ブログも書いています。
よかったら遊びにきてくださいね。
『ハーレム通信』














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