大阪裏なんば千日前のお話 :: デイリーSKIN

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[2016年10月02日00時00分00秒]
大阪裏なんば千日前のお話

「ヤダなー、こわいなー」稲川淳二のしゃべる怪談スタンプが登場したんですよ

 さて、そろそろ私の体験談をお話ししたいと思います。
 
(ライターFT)

蒸し暑い夜のしらべ 2015




 今年の冬のお話です。

 あの千日前の某家電量販店前で友人と待ち合わせしていた時でした。

 待ち時間よりずっと早くに着いたので、大手家電量販店でブラブラしていたんです。



 でもこの場所は過去にも何度か怖い体験をしていますので、液晶の大型TVの価格を調べ、そそくさと待ち合わせ場所に移動したんです。

 本当はその場所にいるのがダメなのを何となく感じていたんだと思います。

 友人との待ち合わせ場所は大手量販店横のサウナビル前、まだ時間があったので1階のエレベーター前で寒さから逃れるために避難していました。友人が来るまでにまだ15分ほど、メールで少し遅れると連絡がありましたので、25分から30分はまだ待たないといけない、何となく嫌だなぁ〜なんて感じてました。

 平日の夕方だったのですがすでに冬場、18:00の待ち合わせでも外は真っ暗。

 寒さもありエレベーターホール前でダウンジャケットのポケットに手を突っ込み、エレベーターホール横にあるインフォメーションを眺めていたんです。

 すると後ろから

 「液晶TV欲しかったん」

 女性の声でした。

 顔には見覚えがなく、年齢は30代半ばくらいの地味な雰囲気だけどソコソコの美人の女性。

 あまりに唐突な言葉に私はどう答えていいか分からず、その女性をポケーっと見つめてしまいました。

 なんでオレが液晶TVが欲しいのを知っている?

 そう思った瞬間、背中に悪寒が走ったんです。

 ここは千日前、私が最も来たくない、待ち合わせなんかはしたくない場所。何で千日前で待ち合わせしてしまったんだろう?

 悪寒は止まらず、こみ上げてくる吐き気と寒さが全身を覆う感覚に教われた瞬間、体が動かない。完全に金縛り状態、ダウンジャケットのポケットに手を突っ込み、立ったままの状態で目の前にいる女性の目を見た。

 「電話待ってたんやで、ずっと待ってたんやで」

 ぼそぼそっと女性は呟いた。

 意味不明、目の前にいる女性の言葉に、何の反応も出来ないまま女性の表情がみるみる憎悪に変わって行く。

 明らかに私に向けられた憎悪の目。

 体が硬直したまま、動けないままその場に立ち尽くし声も出せない、その場からすぐに立ち去りたい不安と恐怖の感情が押し寄せている。

 目の前の不思議な女性が絶叫とも言える大きな声で私に叫ぶ。

 「なんでやぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜あ」

 私の横、数センチ前まで近寄り絶叫した。

 人の髪の毛が焼けた匂いがした。

 意識が薄れそうになったとき、肩をポンと叩かれた。

 待ち合わせ場所に遅れてきた友人だった。

 不思議な女性の呪縛から解かれたように体が動いた。



 サウナビル1階のエレベーターホールにいたせいもあったのか、2月という寒い季節にも関わらず汗が吹き出ていた私を見た友人は「体調悪いんか?」そう言った。

 不思議な女性は目の前にはいない。

 友人は訝しげな目をしながら

 「体調悪いんやったらまた今度にしよか?」

 私は友人に

 「いや、大丈夫、久しぶりやから取りあえず行こう。」

 そう答えた。

 友人とは待ち合わせの場所をメールでやり取りしていた。

 堺に住んでいる友人は、南海電車一本で来れるなんばを選んだ。それは理解出来る。しかし何故、大手量販店前で待ち合わせを選んだのだろう。私はそこを待ち合わせ場所ではなく、市バスで行くのでバス乗り場近くの◯I◯Iにしようと言ったのに、大手量販店前にと場所を指定してきたのだ。

 この場を選んだ理由が知りたい。

 何故、私がこんな気色悪い思いをしないといけない?

 とにかく友人に理由を聴こうと思った。

 友人にはちゃんと言っておけば良かった。

 この場所と梅田、泉の広場は待ち合わせ場所に選ぶな。



 友人に連れられ小さな小料理屋に入った。取りあえずこの場所で待ち合わせした理由を聞いた。



 友人の母が千日前でお店をしていて、母親に会いにいく為、近くで分かりやすいこの場所を選んだということだった。友人の母親は昔から千日前商店街で小料理屋を経営しており、母に呼ばれたからだという。

 友人の父は、友人が幼い頃に亡くなっており母は女手一つで友人兄弟達を育てた。

 友人は3人兄弟の真ん中で姉と弟がいる。姉は高校卒業後、母のお店を手伝っていて、友人も時間がある時は店の仕入れや掃除なんかを手伝っており、今日もお店の手伝いをしていたからという理由だった。

 そして入った小料理屋が、友人の母の店だった。

 「でも、おまえなんでサウナビルにおったんや?ビックカ◯ラ前ってゆうたやろ」

 「寒さ対策で入ったんや、ちょっと早く着いたから」

 「とにかくこの辺であんまり、ビルとかに入るな、お前霊感強いから影響受けやすいと思うで」

 「最初から言うとけや、そんなこと」

 友人との会話を聞いていた女将(友人の母)が話に入ってきた。

 「タカの友達かいな、アンタ」

 「初めまして、FTです。いつもお世話になってます。」

 そんな会話をしながら友人の母は私に悪そうな表情で謝ってきたんです。

 「ごめんな、最初からここで待ち合わせしたら良かってん、ぐるナビにも登録してんのに、あんたアドレスやなんか知らんけど教えたったら良かったのに、寒い中ほんまにごめんな」



 友人と女将さんに、待ち合わせの時の話をかいつまんでした。

 友人も女将も申し訳なさそうな表情で続けた。

 「そりゃ、千日前デパート火災の関係やな、こげた匂いしたん?」

 女将が続けた。

 「そりゃ間違いないわ、感じる人はさすがに感じるからな、災難やったな。昔からこの辺は刑場跡やったり斎場やったりで不思議なことが多いよ」

 長い間、ここで働いていると不思議なことがたまにあるという。

 このお店にもお札が3ヶ所、見え難い所に貼られている。

 「このお店でもなんかあったんですか?」

 私は気になり女将に聞いた。

 店を始めた30年程前、水を一杯くれませんかという辛そうな表情をしたサラリーマン風の男が数日間連続で開店前の店に来たという。

 不思議に思いながら冷たいお茶を入れ、顔を上げるとそこには誰もいなかったりしたことが5日くらい連続であったという。近所のお店の人にそのことを話したら、「すぐにお札貼っとこ」と言われ法善寺にお札を貰いに行ったらしい。

 「夜になったらこの辺、タクシー一台も止まってないよ」

 笑いながら女将は言った。

 この日は遅くまで友人と盛り上がり、終電がなくなった。タクシーで帰ろうと思い店を出ると、千日前筋には全くタクシーが客待ちをしていなかった。

 この場所でタクシードライバー達が何度も、この世にいるはずの無い人を乗せてしまうという出来事が頻発に起こる為だ。

 深夜は全くタクシーが止まっていないのにはこんなスピリチュアルな原因だったようです。



 現在は看板も取り替えられ、金曜日ともなれば賑やかな街並となる。

 しかし終電がなくなる頃、タクシーの数は激減、堺筋や御堂筋に移動する。

 この通りのある一角だけは深夜、一代もタクシーの客待ちはみられない。

 ここを知るタクシードライバーや近辺で営業しているお店の人は、みんな知っている。

 しかしここは大阪の繁華街。

 賑やかで誰もが知っている風情があり、歴史を感じることの出来る素敵な場所とも言えます。いいお店も多く、またこんな話をしてくれる老舗も多いんです。

 皆さんも大阪に来たら、一度は千日前でいっぱい飲んで下さい。

 酔いつぶれても、千日前筋でタクシーを拾えないのでご注意下さい。


大阪・千日前なんばウォークで深夜1時開始のホラーイベント「闇商店街」がガチすぎます…
 
 闇の世界の入り口かも知れないこの場所で、ホラーイベントって‥…

(ライターFT)

千日前で11月5日に行われるイベントnあなたは参加出来るか!




 これは私の実体験です。

 特に夜、終電がなくなった時間に千日前の一角だけはタクシーが止まりません。中には新人のタクシー運転手さんが、知らずに紛れ込むようですがとにかく見事にいないです。特に若い女性は、あの場所でタクシーを捕まえようと思っても絶対にどのタクシーも乗せてくれません(笑

 元々、この場所は刑場だったと言われています。



 実際は刑場、火葬場、お墓だった場所らしく、千日前は風水で言う所の鬼門となります。この鬼門に墓があった訳ですから、マイナスのイメージが溜まるのは仕方が無い事ですね。千日前近くにある有名な市場があるのですが、これが黒門市場という市場になります。この黒門市場、斎条の受付場所だったのです。



 黒門市場に入るとすぐ獄門台と呼ばれる台があり、ここに晒し首などが陳列されていたらしいです。

 これだけでなく、ここには無縁仏が次々と運ばれ、弔いが絶えなかったことから千日念仏という行事が行われ、千日前という名前になったと言われています。


1916年頃の千日前

 とにかく裏なんばと呼ばれるこの場所ですが、安い賃料などが魅力で、若い人達が店を出し賑わっています。古い店と新しい店が混在するカオスワールドとも言える泥臭い繁華街なんです。

 今回、11月に行われるホラーイベントも、こうした若い人達が企画したと思いますが、くれぐれも祟りのないようにして欲しいものですね。











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