蒸し暑い夜のしらべ 2015 最終話 千日前の怪 :: デイリーSKIN

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[2015年07月17日00時00分00秒]
蒸し暑い夜のしらべ 2015 最終話 千日前の怪

「ヤダなー、こわいなー」稲川淳二のしゃべる怪談スタンプが登場したんですよ

 さて、そろそろ私の体験談をお話ししたいと思います。
 
(ライターFT)

蒸し暑い夜のしらべ 2015 最終話 千日前の怪


 友人にはちゃんと言っておけば良かった。

 この場所と梅田、泉の広場は待ち合わせ場所に選ぶな。



 友人に連れられ小さな小料理屋に入った。取りあえずこの場所で待ち合わせした理由を聞いた。



 友人の母が千日前でお店をしていて、母親に会いにいく為、近くで分かりやすいこの場所を選んだということだった。友人の母親は昔から千日前商店街で小料理屋を経営しており、母に呼ばれたからだという。

 友人の父は、友人が幼い頃に亡くなっており母は女手一つで友人兄弟達を育てた。

 友人は3人兄弟の真ん中で姉と弟がいる。姉は高校卒業後、母のお店を手伝っていて、友人も時間がある時は店の仕入れや掃除なんかを手伝っており、今日もお店の手伝いをしていたからという理由だった。

 そして入った小料理屋が、友人の母の店だった。

 「でも、おまえなんでサウナビルにおったんや?ビックカ◯ラ前ってゆうたやろ」

 「寒さ対策で入ったんや、ちょっと早く着いたから」

 「とにかくこの辺であんまり、ビルとかに入るな、お前霊感強いから影響受けやすいと思うで」

 「最初から言うとけや、そんなこと」

 友人との会話を聞いていた女将(友人の母)が話に入ってきた。

 「タカの友達かいな、アンタ」

 「初めまして、FTです。いつもお世話になってます。」

 そんな会話をしながら友人の母は私に悪そうな表情で謝ってきたんです。

 「ごめんな、最初からここで待ち合わせしたら良かってん、ぐるナビにも登録してんのに、あんたアドレスやなんか知らんけど教えたったら良かったのに、寒い中ほんまにごめんな」



 友人と女将さんに、待ち合わせの時の話をかいつまんでした。

 友人も女将も申し訳なさそうな表情で続けた。

 「そりゃ、千日前デパート火災の関係やな、こげた匂いしたん?」

 女将が続けた。

 「そりゃ間違いないわ、感じる人はさすがに感じるからな、災難やったな。昔からこの辺は刑場跡やったり斎場やったりで不思議なことが多いよ」

 長い間、ここで働いていると不思議なことがたまにあるという。

 このお店にもお札が3ヶ所、見え難い所に貼られている。

 「このお店でもなんかあったんですか?」

 私は気になり女将に聞いた。

 店を始めた30年程前、水を一杯くれませんかという辛そうな表情をしたサラリーマン風の男が数日間連続で開店前の店に来たという。

 不思議に思いながら冷たいお茶を入れ、顔を上げるとそこには誰もいなかったりしたことが5日くらい連続であったという。近所のお店の人にそのことを話したら、「すぐにお札貼っとこ」と言われ法善寺にお札を貰いに行ったらしい。

 「夜になったらこの辺、タクシー一台も止まってないよ」

 笑いながら女将は言った。

 この日は遅くまで友人と盛り上がり、終電がなくなった。タクシーで帰ろうと思い店を出ると、千日前筋には全くタクシーが客待ちをしていなかった。

 この場所でタクシードライバー達が何度も、この世にいるはずの無い人を乗せてしまうという出来事が頻発に起こる為だ。

 深夜は全くタクシーが止まっていないのにはこんなスピリチュアルな原因だったようです。



 現在は看板も取り替えられ、金曜日ともなれば賑やかな街並となる。

 しかし終電がなくなる頃、タクシーの数は激減、堺筋や御堂筋に移動する。

 この通りのある一角だけは深夜、一代もタクシーの客待ちはみられない。

 ここを知るタクシードライバーや近辺で営業しているお店の人は、みんな知っている。

 しかしここは大阪の繁華街。

 賑やかで誰もが知っている風情があり、歴史を感じることの出来る素敵な場所とも言えます。いいお店も多く、またこんな話をしてくれる老舗も多いんです。

 皆さんも大阪に来たら、一度は千日前でいっぱい飲んで下さい。

 酔いつぶれても、千日前筋でタクシーを拾えないのでご注意下さい。











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