とうとう最終回です。
暑い夜には怪談を!
本当に書いてもいいのだろうか?
書かなければ自分自身がどうにかなりそうだ。
今回が最終回になります。
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┃『終らない祟り』
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オレはVoの兄貴の彼女を探す事にした。
手がかりは昔、一緒にバンドを組んでいた時のもう一人のギタリストだけだった。しかし奴は中々、話してくれない。
オレはギターに頼み込み、真実を知りたいと頼みまくった。かなりの霊感体質のギターはぼんやりと事の成り行きを理解しているようだった。
あのVoの家で人形を手荒に扱った一件から15年ほどの時が経過している。
あの人形の出所はVoの兄の彼女の所にあった事、そしてその人形は幼くして亡くなった兄貴の彼女が仲良くしていた従姉妹の形見だった事。
人形が引き起こした ”怪現象” もすでに遠い過去の記憶に過ぎない。しかしその後、その人形に関わる人達の不可解な事故や死・・・
相変わらず行方の分からないVoの所在、顔の半分に広がるVoの赤黒い痣。
全ての謎はVoの兄貴の彼女に逢い、確かめれば解決するような気がした。
この話を昨年に書き、6月にデイリーSKINで紹介してからのオレの体調不良の数々、鬱病、体の右半分しかかかない汗、首の右側しか出来ない汗疹。
オレ自身にもこの ”怪現象” が起こっているのだろうか?自分ではただの偶然としか思っていなかったが詳細を取材していくうちにひどくなる ”鬱” 関係があると思えば思える。
そう考える程に真実を追究しなければ何も終らない気までしている。
8月の始め、もう一人のギターに真相を聞くべくして彼と逢い、話をした。ギターの感じている事、思う事、考えている事全てを聞こうと思ったのだ。
ギターは愛嬌たっぷりの笑顔でオレを向かえてくれた。
『久しぶりやな、元気やったか!』
オレはその時の精神状態が悪かったのもあり、かなり不機嫌な態度で『元気ないわい!』と半ば半キレで返した。早く彼女の所在を知りたかったのだ。
そんなオレの態度にもニッコリとしてギターは話を続けた。
『兄貴の彼女なぁ、堺市にある神経科の病院に10年前から入院してるで』
オレはかなり驚いた。ギターは全て知っているとも感じた。そして何故、神経科に入院しているのかを聞いた。
ギターが言うにはやはりVoの兄貴が焼身自殺してからだと言うのだ。その彼女に面会出来るのかと訊ねてみた。するとギターは一瞬、曇った表情を浮かべたが、あまりのオレの熱心さに負けたのか
『分かった、一緒に行ったるけど何があってもうろたえたりするなよ!心してかかれよ!』
と、厳しい表情に変わった。
その神経科に行く車の中で何故、ギターが彼女の所在を知っているのか、Voの近況や、 ”破壊僧” が死んだ事、今までの経緯を全て話し、オレが疑問に感じている事全てを彼にぶつけてみた。
話を聞くと、Voはバンドを自らやめたのではなくギターがクビにしたようだ。Voはあの件以来、全く音楽をやる気になれなかったようだ。練習にも来なくなり、そのまま別のVoを加入させたようだった。
何を言っても無駄だったようだ。ギターがあの事件の事が原因かも知れないと思い、オレ同様、色々と調べ、Voの兄貴の彼女にたどりついたのだ。
彼女に逢い、色々と話を聞いても全くその事に触れようとしなかったようだ。兄貴とは結婚問題でゴタゴタが続いていた事くらしか聞けなかったようだ。その時、すでに彼女は意味不明の奇声を発したり、会話と全く関係の無い事を言ったりとすでに壊れかけていたらしい。
それから少したって連絡が途絶えたと言うのだ。
ギターは彼女の実家を押さえていたので彼女の両親にウソの事情を話し、彼女の居所をつきとめたのだ。その場所が長期療養者ばかりが集まる神経科だったのだ。
当然、家族や親戚以外、面会出来るわけが無く、合えなかったのだけど何日か通い詰め、病院の庭に出てくるのを待ち伏せ、面会したと言うのだ。
現在はかなり彼女の精神状態も回復し、誰でも面会出来るようになったようだ。それまでこぎつけるにはギターがかなり動いたようだった。
まず、彼女の両親にVoの兄貴の事を話し、従姉妹の大切にしていた人形の事も全て話したようだった。彼女の両親は藁をもすがる思いだったのだろう。ギターに面会を許す事になったと言う訳だ。
オレは車中、ギターに聞いてみた。この一件はあの人形の祟りかどうかをだ。
ギターが言うには祟りなんてあり得ないと言う。祟りや呪いはこの世の中にはあり得ないと考えていると自分の考えを話した。
そこにあるのは人間の思惑と念だと。
例えば、ムカつく奴がいたとする。そのムカついた時の人間のパワーは凄まじいパワーがあると彼は考えている。その時に感じる ”怒り” や ”恨み” ”妬み” 様々な思いがある力を生み出すと考えているのだ。
それは霊魂も同じだと彼は考えている。その時に思った人の思いが強ければ強い程、それを取り巻く周りの人々に与える影響は計り知れないと言うわけだ。今回の件をマイナスだとすればプラスの影響も必ずあると信じているとも言っていた。
だから人が死んでも、死んだ人を忘れられなかったり、思い出してしまうのはその人がその時に思った ”想い” が伝わると言う考えだ。
今回の件でもその思いが強かったのでは無いかと彼は推測している。そして今回の件は全てが偶然おこったものだと彼は考えていた。そう、破壊僧やVoの家族が全滅した事、全てが念から起こった偶然だと彼は言うのだ。
だから何があっても怖がったりする必要は無いとピシャリとオレに言った。
オレは少し緊張していた。
車の中はエアコンで快適そのものだったが、何故かじっとりとした不快な汗がひかない。もちろん汗は右半身にしかかかない。その汗のかきかたが余計に不快感を増す。
彼が全ては偶然だと言った言葉はにわかには信じられなかった。オレはあの件は偶然なんかではかたずけられないように感じているし、今でもそう思っている。ギターが偶然だと言ったのはオレを安心させる為の言葉のような気がしていた。
病院に行く前、彼がオレに言った言葉が頭の中を渦巻いていた。
『分かった、一緒に行ったるけど何があってもうろたえたりするなよ!心してかかれよ!』
そこまで言われている。
必ず何かがあると感じている。ギターはむやみに恐怖心を煽るような事は一切しない奴だ。絶対に何かある。
病院に着いた。
奇麗な病院で中庭がある。そこでギターはオレにここで待つように言うと病院の中に入って行った。
5分ほどでギターが戻ってきた。そして今日は暑いから病室に行こうと言った。
受付で住所と名前を書き、身分証明証(免許証)を提示した。
そして病室に行く事になった。
エレベーターの中でギターがオレに何か言いげな表情をしていた。しかしギターは何も言わなかった。
病室の前に到着しドアをノックし開けた。
ギターが声をかけた。
『Aちゃん、久しぶりやな、お見舞いに来たよ!』
とても元気な美しい女性がベットの上で座って本を読んでいた。そしてこっちを向くとニッコリと素敵な表情を浮かべながら
『久しぶりやね!元気やった!』
と、嬉しそうな表情でこっちを見た。
オレの緊張は全く解けてはいなかった。
それどころか、急に不安な感覚がオレを襲ってきた。
簡単に彼女と挨拶をかわし、出してくれた椅子に腰掛けてようやくその不安の正体が解明した。
病室はいたって普通だった。窓には鉄格子など無かった。至って普通の病室で2人部屋で同じ病室の人はカーテンで仕切られていた。
ただ一つを除いては・・・・・
枕元に、半分焼けたただれた髪が異様に伸びた人形が置かれてある事以外は・・・・・
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