『ハーレム』と聞いたら何を想像する?
女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)
黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。
今回は、ハーレムにある自転車屋さんについてです。
(ライター:ナカムラアキツ)
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日本に住んでいたときには、どんな小さな街にでも商店街には必ずある街の自転車屋さん。
そんなイメージがあたしの中にはあった。
あれ?
そういえばニューヨークの街中に、どこに自転車屋さんってあるの?
セントラルパークでしゃー、しゃーっとほっそいロードレース用の自転車に乗ってトレーニングをしている人たちがたくさんいるし、ハーレムでもバイクに乗って遊んでいる子どもたちがいる。
でも自転車屋さんってなんか、みかけたことってないんですが……。
と思っていたら、今年の夏、ハーレムにどかんと自転車屋さんが出没。
その名も『Harlem Bike Doctors』。
ハーレム自転車のお医者さんって感じ?
*
同じブロックにある、ずっとシャッターが閉まっていた車庫が開き始めて工事が始まったこの春先。いったい、なんだ、なんだ、と思いながら毎日その前を歩いていたら、ある日、自転車屋さんになっていた。
実はこのドクターたち、数年前にやっぱり夏になると、同じブロックの路上に突如と現れていた自転車屋さんだった。
でもここ数年、使っていた場所が再開発の波にのまれてふっと姿を消して、いったいどうしているんだろうと思っていた矢先の再会。
当時はどこからか拾ってきたバイクを修理して売っていた感じだったけれど、今回は新品がたくさん(もちろん中古も)青空の下売られている。
色が紫とかピンクとか、とにかく「ぎらぎら」した感じで全体的に派手。
でもって、マウンテン系だから重いと思う。
もっとカジュアルな感じの自転車ってないのかな〜。
ここの車庫だけがお店かと思えば、どこからか黄色いバンがやってきて向かいに止めて、そこも即席青空店舗へ早変わり。
もともとハーレムには退職した年配の人たちから、いったい何で生計を立てているのかなと、昼間っからぶらぶらしている人たちから(ほとんどが薬売りですが)、まあ、なんというのか暇をもてあましている人たちが多い。
なのでこういう場所ができると、どこからともなく、いや、昔の常連さんとか井戸端会議のおっちゃんよろしく、ここぞとばかり人が集まって、自転車を直しているのか世間話をしているのか、とにかく昼間っから大きな声が響いている。
そして面白いもので、ちゃんとお客さんがいるんだよね、常に。
ちなみにニューヨークで自転車を買う場合、ダウンタウンに行ったら何件か自転車屋さんがあるんだけれど、ほとんどの場合はターゲット、Kマートそしてウォルマートといったいわゆる大型スーパーマーケットというのか、そういうところで購入するしかないんじゃないだろうか。あとはスポーツ用品専門店とか。
ところで、このバイク・ドクターさんたち。
スタッフ専用おそろいのユニTシャツがあるんです。
あたしはデザイン的に英語の縦組みってすごーく好きで、このデザインは個人的にツボにはまっています。
忘れた場合は手書きも可。
つーか、手書きも「あり」なんだー、と妙に納得。
いろんなスタッフがオリジナル「手書き」Tも着ている(笑)。
営業時間は朝の10時から夜の7時まで。
でも真夏の間、日没が9時近かったから、それくらいまで井戸端会議所よろしく開いていた。
すっかり朝夕の気温が寒くなり始め、気がついたら秋の気配が満載。そして気がついたら冬になっているニューヨーク。
まさに季節労働者のような自転車屋さんなんですが、いつまで営業していられるんだろう。
「そうだなあ、11月の頭くらいまでかな。どうだろう」
年によっては最低気温が0度になる11月の朝。
ほとんどお店の前を通らない日はなかったあたしと息子。
逆さに置かれ修理されようとしている自転車で気の済むまで遊ばせてもらったり、忘れ物をしたので物を取りに帰るときに、ほんの数分だけ面倒をみてもらったりもした。
いやー、ありがたかったです。
来年は息子の自転車をここで購入かな。
って、3歳児にはまだ早い?
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