ハーレム、夏の名物ジェラートアイス【エラド】 :: デイリーSKIN

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[2008年10月17日10時00分00秒]
ハーレム、夏の名物ジェラートアイス【エラド】

『ハーレム』と聞いたら何を想像する?

女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)

黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。

4回目の今回は、ブロンクス発のジェラートアイス【エラド】についてです。
(ライター:ナカムラアキツ)



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夏が近づくと125丁目に、ある屋台が出始める。




いったい何を売っているのかというと、【エラド】と呼ばれるジェラート。
ちなみに【エラド】とはスペイン語で「アイス」のこと。つづりはHelado。フランス語やポルトガル語などと同じでHを発音しないので【エラド】と呼ばれているのだ。

こんな感じで屋台に設置されているエラド。ちなみにおばさんが作っているのは、あたしの一押し「ココ(coco)」味エラド。




他にも「マンゴー&チェリー」「ライム&パイナップル」「レインボー」とある。
ちょっと「レインボー」って何よ、と思ったアナタ、なんのことはない、上のフレーバー(ココのぞく)が混ざったやつですよ。そこに青い色も混ざっているけれど、何の味なのかは不明。

なんでも欲張りに全部欲しがる人たちにはうってつけ。多分一番売れてるんじゃないのかな〜、見た目は「えっ」って感じですがね。残念ながらオーダーしたことないから味はよくわからないんだけれど、さっぱりしているらしい。

そして今年は「ブルーベリー」なるものが追加されていた。

あんなに色がついているので、ぜったい舌にも色がつくんだろうなと思って、食べている子どもたちの舌をちらりとのぞいたこともあるけれど、案の定べったり色がついていた。

でもこれ、オールナチュラルっていうのが売りなんだよ。

えーーーーーーー。
確かにブルーベリーとか普通に強い色だけど、他のはどうかな、疑問だ。


これは「ライム&パイナップル」
ライム多めにしてもらった。まあ、さっぱりな味。






あたしが初めてこやつに出会ったのは2003年の夏。
当時は一番小さいカップで50セント。それが2年ほど前くらいから75セントになり、今や1ドル。うーむ、5年で50%の値上げです。

って言っても、75セントの時代から1ドルで買っていたし、そんなに目くじらたてることでもないだろうし。

でもこの屋台、125丁目を歩けば、交差点ごとにいるんだよね。
ひどいときには4つ角ぜーんぶに。そして面白いことに繁栄している人としていない人がちゃんといるんだよね。

あたしのお気に入りのおばちゃんがいるのは、125丁目と7番街の北西の角。シティー・バンクの前。




もっと遠いところで「ああ、エラドが食べたいなあ」と思っても、このおばちゃんのところまで我慢する。

というのはね、量が多いからなんですよ(笑)。

浮気して他のところで買ったら、同じ1ドルなのに3分の2くらいしか入ってなくってがっかりしたこともある。このおばちゃんは、あたしが思うに平均よりもやや多め。だからこのおばちゃんのところはいつも人が多い。
たまに他の人がその場所にいると、おばちゃん、風邪でもひいたのかと心配してしまうくらい。

そういえば今年はまだ見かけていない。
おかしいなあ。

ところでこの【エラド】なるもの、ハーレム発なのかと思っていたら、実はブロンクスだった。

アメリカ合衆国の準州になっているプエルト・リコという小さな島国があるんだけれど、そこで売っていたエラドを、あるプエルトリコ人がニューヨークに持って帰ってきたというわけ。しかし今の形になるには試行錯誤を重ねに重ねたという。

個人的には【エラド】売りがいないハーレムの夏なんて、もう考えられないから、かなりビジネスは成功していると言ってもいいでしょうね。

そこで気になるのが、どのくらい稼げるのかってこと。
だってカップが1ドルから始まって一番高くっても3ドルくらいだから、それをいったいどのくらい売らないといけないのか。

近所で忙しそうにしていた【エラド】売りのお兄さんに聞いたところ「今日が初日だから、よくわかんない」とのこと。ほほう。

それも二日前に「やってみない?」と言われて「やってみる」と簡単に返事をしたという。そんな簡単に始められるんだ、とちょっとびっくり。

今ではハーレムにも事務所があるらしく、そこに行って手続きをすまして、始めたという。

「午後の2時から仕事を始めたからね……(聞いた時間は午後6時)。儲かっているかどうかもよくわからないし、いつが終了時間かもわかっていないよ」と言っていた。

うーん、そういう提示ってないのかな。
まったくその「売り手」次第ってことなのかしらん。

なんでも【エラド】を入れているカートは1日1ドルとか、安い値段で貸し出されているらしい。でも売るための【エラド】は、なんとその売り子さんが買い取るらしいのだ。

うーん、ある意味ギャンブル。
いったいいくらで買い取っているんだろう。

ということは、お給料はまったくその人の能力次第ってことだな。いかにして儲かる場所を見つけるか。だってただ街角にじっと待っていてもだめだもんね。

それでも少ないとはいえ時給とか、なんらかの保証はあるとは思うんだけれど、どうなのかなあ。

でもある意味、ものすごいアメリカっぽい商売とも言えるな。

あたしはニューヨークで何件か日本食レストランでバイトしたけれど、基本的に時給なんてないし、そのお店自体が忙しくないと、本当に稼げない。天候やら季節によってもちろん忙しさは変動するから、稼ぎも変動するけれど、本当にその差は驚くほどに激しい。

でもその反面、しっかり働けて経験があると、忙しいお店に移って、どんどん稼ぎを増やすことができる。

自分の能力次第では、いくらでも稼げるのがニューヨーク流。

この仕事、【エラド】売りから、ビッグになっていく人もいるんだろうなー。

なんていつも思いながら買っているわけじゃないけれど(笑)、単純に、純粋に美味しいので、街角で見かけたらぜひ試してみてくださいな。

※基本的に、ラティーノ(中南米の人たちのことを示す)と黒人の多い場所に出没しています。




この看板が目印だよ。


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次回は「夏の公園、噴水」についてです。
お楽しみ!

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