『ハーレム』と聞いたら何を想像する?
女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)
黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。
今回は、黒人セレブも大絶賛のコスメ店についてです。
(ライター:ナカムラアキツ)
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約3年の冬、125丁目にコスメのお店ができた。
とはいえ、そんなものは125丁目にごろごろあるんだからと思っていたけれど、そのお店のオープニングがまったく違っていたのだった。
お店の前にレッドカーペットが敷かれ、鉄柵があり、警備員も何人もきて、そして見物客の多かったこと! 夜に華々しく店内でオープニング・パーティーが開かれていたのだった。
そのお店の名は『キャロルス・ドーター(Carol's Daughter)』。
ニューヨークはブルックリン出身のリサさんのお店。
この表に貼られるポスターに、メアリー・J・ブライジ、
ジェイダ・ピンケット・スミスなど、ブラックセレブの人たちが登場。
なんでもメアリー・J・ブライジを始め、ビヨンセ、ジェイダ・ピンケット・スミス(ウィル・スミスの奥さん)などなど、ブラックセレブの方たちが、イチオシ! のプロダクト満載のお店なのだ。
メアリー・J・ブライジとジェイダ・ピンケット・スミスは広告にもでているし、メアリー氏に限っては、元スーパーモデルのタイラ・バンクス・ショーに出てきたキャロルスさんの手作り石鹸コーナーにも出ていたくらい。
と、日本に住んでいてブラック関係にまったく興味のない人たちには「だから?」的なことかもしれませんが(笑)、うちのご近所のみなさんにとっては『キャロルス・ドーター』で商品を買うのが「夢」だったような観光客でにぎわっているお店なんです。
ところが、ここのお店の店員の態度の悪いことったら!
今思い出してもはらわたが煮えくりかえるだけではすまされませんぞ。
ニューヨークで日本のようなサービスを期待しちゃーいけません。
日本は世界一サービスが素晴らしい国だから。
さすがにニューヨーク在歴10年目を迎えると、どんなにぶっきらぼうでも「はいはい」とするっと抜けることができるんだけれど、ここのお店はまあ、ひどかった。
何よりも驚くのが、黒人のお客に対応する態度と、ノン黒人のお客に対応する態度がまーったく違うってこと。はっきり言って、黒人のお客しか相手したくない感ありありなんですよね〜、ここ。
アジア人(中国人と思っている率100%)のアンタがこの店にいったい何の用なのよ。
的態度、ありおりはべり、いまそかり。
あごをかる〜く突き出し目を細め腕を組んで上から見ている感じと言えばわかってもらえるでしょうか?
ちょっと質問してもても
あら、アンタ、質問なんてするんだ。
的態度。会話する時間すらもったいないとでも思っているのかなあ。
なのに、黒人のお客にはまったく正反対。
にぎにぎ、ごますってないですかー。
って、でもまあ、くるくるカーリーヘアー用のシャンプーやらヘアーオイルとか確かに必要ないし、何でもやたらめったら高いから買うことはないんだけれど、でもあの態度はなあ、むかつくんですわ。
このブランドを立ち上げたリサ・プライスさんは、ストリート・フェアでこのプロダクトを売り始め、それがだんだんと広がってブルックリンにお店を出し、約3年前に黒人の都、ハーレムにお店を出したという努力の人。
ハーレムのお店の店員について、彼女はいったいどう思っているんだろう。
ハーレムにはもっともっと、今まで以上に黒人以外の人種が住み始め、そういう人たちだってお店にやってくるはず。おしゃれな石鹸とか、買うはずだよ。その時にツーンとした差別的態度をしていたら、売り上げにも支障がでるんじゃないの?
去年、息子と二人でお店に行ってみたけれど、反応はあまりよくなかった。
黒人とのハーフの息子でも店員の態度は軟化されず。
じゃあ、今度は旦那と三人で行ってみたらどうだろう。
って、そこまでして欲しい商品はないんですが……。
ということで、今回は外観だけの写真です(笑)。
店内なんてもちろん撮れないし、石鹸一つ買うにしても無表情な人たちと対話をしないといけないので、パスです。
それでも、今日も125丁目を歩けば、お店のショッピング・バッグをうれしそうに持った黒人のおねーさんたちが何人かいた。
これからのホリデー・シーズンに向けて、そういう人たちをもっと見るようになるんだろう。
黒人の人たちの多くは「あたしたちは差別されてきた」と思っていて(それは確かにゆるぎのない事実。400年という奴隷の歴史は重い)、いつまでも"被害者”でいる。でも、実は知らないうちに逆差別をしているということにまったく気づいていない。
自分たちの”文化”を守るために、そういう態度になってしまうのかもしれないけれど、被害者意識をほんの少しでも取り払って、差別をしているという事実に気づいてくれたらなあと、いつも思う。
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