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[2009年03月12日13時25分07秒]
DV(ドメスティック・バイオレンス)について考える。

『ハーレム』と聞いたら何を想像する?

女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)

黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。

今回は、DV(ドメスティック・バイオレンス)についてです。
(ライター:ナカムラアキツ)



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日本でどのくらい有名なのかはわからないけれど、先月、R&B会のアイドル、クリス・ブラウン(19)が彼女で、これまたビヨンセに続く歌姫リアーナ(21)を殴った事件があった。






この事件はものすごい衝撃をアメリカ社会に投げかけている。

あたしははっきりいって、クリス・ブラウンがどんな人というのはよくは知らないけれど、顔はかわいいし、歌もダンスもうまくって、いわゆるギャングスタ・ラッパーとは対局にいる人だなあと思っていた。
とくに、カースワード(Fワードともいう。フXXクとか、そういう汚い言葉)を使わない、いわゆる「クリーン」なイメージを出していたのだ。

ん〜、なんだか身近でないからイメージ沸かないなあ、という方、この例えではいかがでしょうか。

昨年の紅白まで出てしまった黒人演歌歌手ジェロ(You Tubeで見たけれど、歌、うますぎ〜、日本語うますぎ〜〜〜)。彼ってすごいいい人なイメージあるんだけれど、どうでしょう?

今回の事件がどのくらい衝撃的かいってみれば、そのジェロが浮気をして、付き合っていた彼女にそのことを問い詰められ逆ギレして、彼女の顔を何発も殴ったということ。

あたしは勝手にクリス・ブラウンに対して、ゲットー育ちとは違った黒人男子のロールモデルでいいなあと思っていたので、今回の事件は非常にがっかり。いや、がっかりってもんじゃない。本当に「クリス、お前もか!」って気分。裏切られたってやつですか?

ただ今回の事件が進むにつれて、彼の過去がはっきりしてくるわけなんだけれど、それによりと、クリス・ブラウンはDVの家庭で育ってきていたということ。

うろ覚えで悪いけれど、2005年だか2006年の調査に、高校生のカップルの1割くらいがパートナーからDVを受けた経験があるという結果が出ている。その多くがDVの家庭で育ってきているという結果も。

彼らの言い訳といして「暴力も愛情の一種」という認識があって「だから殴って何が悪い。だって親だってそうやっているし(そして別れていない)」という、第三者から見たらよくわからない、あまりにも自己中心的言い訳が渦巻いている。

もちろんDVは身体的暴力だけでなく、精神的暴力も含まれる。

ハーレムに住んでいると、いや、ハーレムだけでなく、いわゆる貧しいコミュニティーに住んでいる人たちの間には、目に見えない、また、自分では気づいていないDVがかなり深いところまで進んでいるんじゃないかと思う。

もちろん身体的暴力もあるけれど、どちらかというと、精神的暴力のほうが強いような気がする。

いろいろな問題が過去にあったとはいえ、ハーレムに住む人たちの多くの黒人たちは歴史的背景から精神的DVを受けてきたとも言える。その流れなのか、あたし的には多くの女性が、男性から精神的DVを受けていると思う。

例えば大きな問題であるシングルマザーの問題。

親になっても責任を取らない男性の多さ。仕事はしないのでお金がないんだけれど、なぜかマリファナを始めとしたドラッグには費やすお金はあるという矛盾。
もちろんお金が全てじゃないけれど、お金で解決できることは多くある。

でも、それを精神的DVだということをお互いが認識していないから、この問題が深いというのかややこしくなっている。たとえ女性のほうがそう訴えても、男性のほうは「何言ってやがる」と相手にしてくれないだろう。
とくに精神的なことだったら、いちいち日記をつけたりしないと「証拠」なるものが身体的と違ってないから、第三者にわかってもらえるようにするのは非常に大変。

あたしは、なんだか必要以上にお互いを傷つけあっているように思えるのは気のせいだろうか?

ところで浮気にしても、精神的DVなんじゃないのかって思っているんだけれど、どうなんでしょうね。

さて、話戻ってこのカップル、また復縁した。でもって、彼氏クリス・ブラウンの新しいアルバムでデュエットしているらしいよ、この二人。



曲を作ったのがDVの前だから、というのがクリス側の話らしいけれど、テレビ界のご意見番、オプラ・ウィンフリーが自分の番組で復縁したことに対して反対していて、果たしてどうなることやら。

一度暴力をふるった人間が、二度としないと言えるのだろうか? 
また絶対同じことが起きるというのがオプラを始めとした多くの意見。

あたしもそう思っているので、なんで復活を、と思ってしまった。

ま、好きだった人を断ち切るのはなかなか大変なので、リアーナなりにも思うところがあっただろうけれど……。

今回の事件を通して思ったのが、暴力の連鎖の怖さ。
どんな理由があっても、子どもの前ではパートナーに対して暴力(それが身体的、精神的であれ)をふるってはいけないということ。

マイケル・ジャクソンがあんな風に壊れてしまったのも、親からの暴力を受けたことであって、今更ながら怖いと思った。

しかしクリス、クリーンなイメージでもはや復活はできないだろうなあ。セサミ・ストリートまで出いたのに、もうダメでしょうな。
これからは「ヒール(憎まれ役)」にでも変身するのかな。

なかなか黒人青年のロールモデルっていない、のねえ……。


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◇ブログも書いています。
『ハーレム通信』

◇イラストを使ったTシャツも作っています(ベイビー、キッズ、ガールズそしてメンズ)。
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◇もし、あなたが日本以外にお住まいでしたら、こちらのサイトからも商品が購入できます。
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[2009年02月20日00時00分00秒]
ブラックムービー紹介:その弐:『ブラキュラ』


『ハーレム』と聞いたら何を想像する?

女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)

黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。

今回は、ブラックムービーの『ブラキュラ』をご紹介です。
(ライター:ナカムラアキツ)



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「この映画面白いよ〜」と、だんなと付き合いだして間もないときに、わざわざ実家からテープを持ってきて一緒に見たのがこれ、『ブラキュラ』。









同じくハーレムに住んでいる日本人の友だちいわく、「黒人が見ると泣けてどうしようもないらしいけれど、他の人たちが見ると笑えてしょうがない」という評価の映画。

でも、あたし的にはがっつりツボに入った映画でした。

B級ばりばりのブラック・ムービー。
製作年度は1972年。

ファッションがかっこいい。
アフロヘアーがかっこいい。
音楽だって負けてないよー。

ストーリーはというと、まあ、パッケージの絵を見てもらえばわかるだろうけれど、ドラキュラのお話なんですよ。で、ブラックのドラキュラだから『ブラキュラ』(安直、なんて安直なんだああああ)。でも、このBな感じがいいでしょ。

中世の時代に黒人カップルが白人のお屋敷にご招待されるんですが、実は招待した白人の彼らはドラキュラ。主人公である男性だけがドラキュラにされ、婚約者である彼女は亡くなります。

で、時が流れて現代になり、ドラキュラになった彼は『ブラキュラ』として復活し、ある夜、ディスコで婚約者そっくりの彼女と出会い(二役)、そこからドラマが生まれるのであった……。



冷静にストーリーだけを言うと非常に哀しいお話なんだけれど、B級なだけにストーリーの爪が甘くって突っ込みどころ満載。笑いが止まらないんですな。いや、結構泣けるんだけれど、やっぱり笑わずにはいられない。

だって、アフロヘアーのドラキュラ。
ありえない。
ルパン三世も顔負けのすんごいもみあげ。

当時のアメリカというのは、60年だいから公民権運動が盛んになり、マルコムXとキング牧師の存在(共に暗殺される)、モハメッド・アリの勝利、そしてブラック・パンサーを筆頭に”ブラック・イズ・ビューティフル”というスローガンとともに、世の中に台頭するようになっていた時期ともいえる。

それと同時にブラック・ムービーも盛んに作られ、この映画もそのうちの流れをくんでいるといってもいいでしょう(ある意味一番クールな映画が多い時期とも言える。日本でも有名(だと思うんですが)な『Super Fly』という映画ができたのもこの時期)。

ところで映画「ブラキュラ」で主人公のブラキュラを演じるのは低音が魅力の黒人シェークスピア俳優のWilliam Marshall(ウィリアム・マーシャル)。そして彼の演技が賞賛されて1972年のSFファンタジー&ホラー映画のアカデミーといわれるSaturn AwardsでBest Horror Film"賞を受賞したという、実はカルト的に非常に人気の高い作品のよう。

日本でも公開されたようなんですが、日本語字幕は出てないようで、残念。
機会があったらぜひ見て欲しい一作です。


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[2009年02月13日00時00分00秒]
バレンタイン前

『ハーレム』と聞いたら何を想像する?

女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)

黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。

今回は、ハーレムのバレンタインの装飾についてです。
(ライター:ナカムラアキツ)



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2月14日はバレンタイン・デー。

と言っても、日本のように女性が好きな男性にチョコレートをあげる日ではなく、どちらかというと、男性が女性にプレゼントを渡す日。でもって、カップルの日、とでもいいますか。

バレンタインが近づくと、街には「赤」が目立ち始める。

今年は近年まれに見る不景気で、果たしてどこまで華やかになるのかはわからないけれど、例年だと真っ赤なバラを配達する人や、恋人にプレゼントするために抱いている、スーツを着た男性とか、14日にはよく見かけた。

もちろんレストランのテーブルの上には、真っ赤なバラが一輪、その横にはキャンドル、と、ムード満点な演出なんですが、今年はシャンペンを買って、愛しい人と家で、というパターンになる率が高いとの話。

個人的にはアメリカ式のほうがうれしいな、と(笑)。

だって「義理チョコ」とか、いちいち面倒くさい。
デパートなどのチョコ売り場の混雑もうんざりだし。
ま、イベントの一つなんだからと割り切ればいいけれど、やっぱりチョコ会社の陰謀としかいいようがない。

こっちだったらカードを渡してお終いだし、何よりもプレゼントをもらえるほうだし、お互いそんなにお財布も傷まない(笑)。

それにホワイトデーとかもないから、お互いが気持ちいいと思う。

今年は「逆チョコ」なるものがあるらしいけれど、なんか、そういう風習(といっても過言じゃないよね?)と距離が置けたらいいのにね〜。

さてそんなバレンタイン一色の中、ハーレムの目抜き通り、125丁目の風景はどんなもんでしょうか。



いくら目抜き通りといえども、垢抜けたお店ってなかなかない。
なんかこう、下世話というのか、手作りというのか、ホントにぱっとしない。
「SEXY」と書かれているハート型のポップ(といっていいのか?)があるので、
ここは下着屋さん。
といっても、ヴィクトリア・シークレットとはほど遠い。




こちらは「パーティー・グッズ」屋さん。
お誕生日系グッズから、こういう季節のイベント装飾品を取り扱っている。
もちろん、クールなセンスなんてなし。ベタ一色。
でもハーレムの人たちにはこれがいい。



こーんなベアもらってうれしいかー?
と、いつも思ってしまう。
子どもだったらうれしいのかな。



ちなみにこのお店、オバマが次期大統領になることが決まってから、
このポスターを貼っている。
似ていないところがミソですな。


ハーレムの125丁目なんて、田舎町の商店街のような感じ。
でも「黒人の聖地(メッカ)」とまで言われているんだから、もうちょっとがんばって欲しいと思いつつ、住んでいる人たちのニーズに合わせると、こういうお店しかないのも仕方ないのかなと思ったり。

本当の意味での「クール」さは、実は失われてしまったのかもしれない。


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[2009年02月06日00時00分00秒]
ブラックムービー紹介:その壱:『マンディンゴ』

『ハーレム』と聞いたら何を想像する?

女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)

黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。

今回は、ブラックムービーレビュー第壱弾『マンディンゴ』についてです。
(ライター:ナカムラアキツ)



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そういえばすっかり忘れいていたのですが、アメリカでは毎年2月はBlack History Month〜『黒人歴史月間』。

『ミリオンダラーズ・ベイビー』でオスカー助演男優賞を取ったモーガン・フリーマンが「黒人歴史月間なんてやらなくたっていいじゃないか」と言って、黒人たちの間で物議をかもしたこともありましたが。



彼が言いたかったのは、2月だけありとあらゆるメディアが黒人の歴史をフューチャーするけれど、本来であれば、他の月だって黒人の歴史はフューチャーされるべき。ということなんですな。だって「白人歴史月間」なんてないんですからね。

黒人の歴史はアメリカの歴史。ということらしいです。

とはいえ、ついに初の黒人大統領が誕生したアメリカ。
今年はなんとなく雰囲気がいつもと違うと感じるのは気のせいだろうか。

ということで、ブラックムービーのご紹介シリーズ(?)を始めます。

今回紹介する映画は『マンディンゴ』。





ところで突然ですが、映画『風とともに去りぬ』って、好きですか?
うちは母親(70歳)が大好きで、ビビアン・リー演じるスカーレット・オハラに骨抜きされ状態。

あたしも「明日には明日の風が吹く」という台詞を何度聞かされたことか。

この映画は、その時代よりもちょっと前の話(『風とともに去りぬ』は1960年代)。
そして『風ととにも去りぬ』が表なら、この話は裏。
白人としては(もしくはアメリカとして?)世間に知られたくない奴隷と、その奴隷を扱っている白人家族模様についてのお話。

時は1820年代、場所はディープ・サウス、ハリケーンカトリーナ被害でさらに有名になったニューオリンズ。
湿地帯というのも大きく手伝って、この地域にはたくさんの『綿の土地:コットン・フィールド』があった。もちろん働いているのは奴隷である黒人で、その黒人たちを扱っているのは白人。

主人公はいわゆる地主である白人家庭の長男。
でも、そんな彼はある意味当時としては「もうちょっと見解が広い」人として描かれている。

もちろん「白人」だから「正妻」は白人がよろしいのだけれども、奴隷である黒人の若い娘たちの「処女」はみーんなもらえちゃう特権を持っている。お妾さんというのか、ぜんぜん違うけれど側室みたいな感じとでもいいましょうか。

ある日、主人公の彼は、いとこのお家であてがわれた黒人の女性に恋に堕ちた。
もちろん彼は彼女とは結婚できないけれど、自分のお家へ向かい入れ、奴隷以上のもてなしをする。

その後日、彼が奴隷市場に行ったときに『マンディンゴ』を手に入れた。
当時は黒人同士で拳闘するのを白人がお金を賭けて見るのがはやっていて(多分、格闘技の大元はここからやってきているのだろう)、そこで勝ち上がった人だ。
そう、ケンカの強い(そして白人の欲求を満たしてくれる)黒人のことを当時は『マンディンゴ』と呼んだようだ。

白人の彼は黒人の彼女と「マンディンゴ」をとても大切にしていた。
彼はとくにマンディンゴがお気に入りで、自分のボディーガードとしていろんなところへと連れて行っていた。

そして主人公の彼は、いとこの妹(白人)を、嫁へと向かい入れた。
ところがこの娘が「ヴァージン」ではなかったことから悲劇が始まる。



面白いもので、それがアメリカだけでなく世界的見解だったのだろうか、当時の殿方たちの見解としては、「やっぱり妻にするなら処女がよろしい」という、オンナのあたしからしてみればある意味侮辱とも思える考えがあったみたいですね。



「うちの家族や友だちはこの映画、見れないよ」と、旦那はいう。
「あまりにもリアルでハードだから」とのことらしい。

そういえば、10年以上も前に現代美術家韓国人と一緒に仕事していて、作品の関係上、日本と韓国の歴史を触れることになって、韓国が製作した韓国の天皇制を時の日本軍が破壊したというドキュメンタリーを元にしたドラマを見せられた。

「アキツ、どう思う? 日本人としてどうだよ」
と、普段は日本人だとか韓国人だとか関係なく仕事をしていたのに、彼女から問われたとき、あたしは何も返す言葉がなかった。

習ってこなかったこととはいえ、あまりにもハードな(そしてヘヴィな)内容だったからだ。

それと同じように(もしくは同列にしてはいけないのだろうけれど)、アメリカに連れてこられたアフリカ人が奴隷にされたのは周知の事実。そして彼らが受けてきた屈辱的行為も。



「お前は黒人じゃないから、俺たちのことなんてわかりゃしない」
「俺たちは奴隷だったんだからな!」

と、ハーレムに住んでいて、あたしは今までに旦那だけでなく何人かの黒人から言われたことがある。

あー、またか、うっとおしいなあ。いつまでもそんなこと言ってないでよ。今は21世紀だよ、奴隷だったのはアンタじゃないでしょ? 
と言いたくなることが多いけれど、この映画を観ると「うーむ」となってしまう。

彼らが未だにそう言うのは仕方がないことなのかな、と。

いつだって加害者はすぐに忘れ、被害者はいつまでも覚えている。
そして、その傷が癒えるには、400年という奴隷の歴史があったように、同じ400年かかるのかもしれない。

でも、この映画に出て来てる人たちは「奴隷だけれども、人間としての誇りは忘れないように」といったような孤高感が感じ取れるのは、所詮は映画、作られた物語の中だから?

とはいえ、オバマが大統領になったので、ある程度は癒されたとは思う。

日本で今回の大統領選挙から就任式までどういった形で放送されていたのかはわからない。ネットでいくつか読んだけれど、違和感があった。

いくら黒人の歴史を勉強していても、実際に住んで、彼らと関わっていないと、どうして彼ら黒人が涙を流しながらオバマの演説にききっていたのかわからないと思う。

アメリカ黒人は、つねに「怒り」を持って生きてきた。
それは奴隷として扱われ、自分たちの感情を押し殺さざるを得ない。常に周りから抑圧され、奴隷から解放されても、それは続く。
社会の中だけでなく、黒人同士の間でも。



ディープな内容で、見終わった後はどこかへ放り投げだされた感じで落ち着かないけれど、とてもいい映画。

奴隷になってしまった黒人だって立場によって苦悩、当たり前だけど人格があって、そして支配者である白人にも人格がある。別に「黒人だから」「白人だから」という枠組みに当てはめられないドラマがあるけれど、でも、やはりそういった時代背景がこの映画をよりいいものにしているのだろう。

歴史って、やっぱり偉大、なんだよね。

日本語訳が出ているかは不明だけど(多分、マイナーなのでないだろうけれど)、黒人の歴史などに興味があるなら(いや、なくとも)ぜひ観て欲しい作品です。
アメリカのAmazonで購入できまする。

ちなみにメインの音楽はシカゴ・ブルースの巨匠、マディ・ウォーターズ。
ブルースなんてしみったれていていやだなあ、よい曲もたくさんあるけれど、すぐ飽きてしまうんだよね〜なんて思っていた。
けれど、この作品には驚くほどマッチングしていて、いや、ブルースってすごいんだ、と改めて思わせてもらったくらい。歌詞が映画にマッチしていて、泣かせるんですよね。

マディ・ウォーターズは日本でも簡単に購入できるので、よかったらどうぞ。
ウィスキーをオン・ザ・ロックにして、ルームランプ一つだけつけて、思いをはせて下さい。

↓こちらのヴィデオは、マディ・ウォーターズとローリング・ストーンズのライブ。ストーンズのバンド名は、マディ・ウォーターズの曲名(ROLLIN' STONE)からきていることは有名。






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[2009年01月23日00時25分54秒]
オバマ大統領就任式翌日の新聞

『ハーレム』と聞いたら何を想像する?

女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)

黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。

今回は、オバマ大統領就任式翌日の新聞についてです。
(ライター:ナカムラアキツ)



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今週の火曜日20日は、まちにまったオバマ氏が第44代目アメリカ合衆国大統領についになった。日本でもかなり報道されているだろうから、詳しいことは省くけれど、このオバマ大統領は歴代大統領と違って、いわゆるオバマグッズ(Tシャツのみらなず、バッチ、トートバッグ、キャップ、ステッカーなどなど)の売り上げがかなりある人。

大統領就任式前には、なんと! スパイダーマンの漫画に出演までしてしまったのだ。この漫画の初版は、その日のイーベイであっという間に200ドルになったくらい(定価は3.95ドル)。

いや、それよりも大統領選挙の翌日のNew York Timesは40万部刷ったにもかかわらず(通常の倍以上)、あっという間になくなって、同じくイーベイで200ドル以上で取引が行われた話もある。

ということなのか、それから新聞までもがオバマ関係は「売れる」ということになって、今回の、就任式翌日の新聞(21日づけ)もどのくらい出ているのかとチェックしてみたら……

1ドル50セントの新聞なのに、スタート金額が9ドル99セントとか、あと入札歴がついているものだと、スタート金額が99セントだったのか、2ドル25セントまでになっていた。が、送料無料だったら、あまり意味ない感じ……。

今回はどのくらいまで値があがるのかが興味深いけれど、さすがに二匹目のドジョウをねらっている人たちが多いのか、あまり動きはない感じ。

でも、Obamaで検索を入れ出すと、ちゃんと「obama news paper」というカテゴリーが出てくるのが、さすがというのか、それだけいろんな人が出品しているということなんだよね。

大統領選挙翌日にはまったく手に入らなかったNew York Timesだったけれど、今回は夕方でも手に入ったくらいだから、すごい量を刷ったに違いない。

とはいえ、白人が増えてきて少しずつ人種も変わってきているハーレムなのに、デリ(いわゆるコンビニ)の店頭にNew York Timesが売っていないのは理解できないなあ。ま、新しく引っ越してきた人たちなどは、定期購読しているから、あたしみたいにデリで買う必要はないだろうけれど、でも、たまに欲しくなる場合もあるので、これからはちゃんと置いて欲しいと節に願う。

ちなみに、スターバックスの店内でもタイムスは買えるんだけれど、ハーレムにあるスタバでは、ほとんど部数が置いてなく、あっという間に売り切れてしまうのが現状。

それでは、就任式翌日の新聞3種をご紹介します。


これは、ニューヨークで出ている無料ニュース紙。創刊5年目。
いつもならニューヨークのローカルニュース中心だけど、
さすがにこの日は就任式について。
もちろん、巨大スクリーンの設置されたタイムズスクエアにいた人への
インタビューなども掲載されている。
読みやすい英語で好きな新聞。



ニューヨークの新聞と言えば、世界的に有名なのが「New York Times」だけど
こちらの「デイリーニュース」のほうが英語がまだわかりやすい。
普段はこうやって二つ折りで、表が大きなニュースが来て、裏がスポーツというのが通常なんだけれど……




今回はこうやってぶち抜き。
もちろん過去にも(例えば同時多発テロのときとか)こういう扱いはあった。



そして中を見ると、ダンスの写真(左)と、宣言の後の二女サーシャちゃんから
「よくできました」と言われているオバマの写真。
それにしても、オバマ夫妻は本当に仲がいい。
過去の大統領夫婦と比べても、それがよくわかる。



そしてこちらがニューヨーク・タイムズ。



中に「オバマ大統領」セクションがあってびっくり。
2000年のブッシュが大統領になったとき、こんなセクションあったかな〜。
って、当時はタイムスなんて難しくって読んでいなかったから記憶になし。
2004年については、かっこつけで定期購読していたけれど、いかんせん量が多いのとやっぱり英語が難しく、いつもスポーツしか読んでいなかった(苦笑)。



そしてこちらが22日づけのデイリーニュース紙。
「Day1(大統領になって一日目)」との見出し。
ということは、23日つけの新聞の見出しはDay2で、その翌日がDay3となるのか?
なーんて嫌みなことを考えたり。



オバマ大統領に対して、元大統領ブッシュがホワイトハウスを去るときの様子は、あまりニュースにならなかった。
だって、就任式のときに、ブッシュの名前が呼ばれたら大ブーイング(もちろん元副大統領のチェイニーしかり)。

オバマが大統領になったからといって、すぐに何かがかわるだけじゃない。
でも、今までよりかはよくなるであろうという気持ちはアメリカだけでなく、世界の人たちも同じではないだろうか。

それよりも個人的には、シングルマザー率の高いブラックコミュニティーの人たちに「夫婦」の意味を教えてくれる、素敵なお手本ができてよかったと思っている。

って、これは自分にも言えることだけど。

どこまでオバマ夫妻に近づけるかわからないけれど、アメリカは、理想の大統領と、ブラック・コミュニティーでは(ブラック・コミュニティーだけじゃないけれど)理想の夫婦をも手に入れたということ。

今後の4年のみならず、8年続いて欲しいと願いつつ、いつか暗殺されるのではないかという不安もつきまとっているのが、哀しい事実でもある。




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今回は、マーティン・ルーサー・キング牧師デイについてです。
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ブラック・コミュニティーに住んでいると、キング牧師は外せない。


キング牧師




この時期になると、公立学校では彼のスピーチ「I Have a Dream」を、平家物語よろしく暗誦させられる。なので、近所の子どもに聞くと、キング牧師節で「あぁぁぁぁぁぁぁいはぁぁぁう゛ぁどりぃぃぃぃぃぃぃむ」と言ってくれる。

さて、毎年1月の第3日曜日はその『キング牧師デイ』。
キング牧師の栄誉をたたえ、牧師の誕生日(1月15日)に近い第3月曜日を休日とした。

アメリカで祝日となった故人は他にクリストファー・コロンブスとジョージ・ワシントンの2人だけというから、すごい快挙。

とはいえ、サンクスギビング・デイやクリスマス、元旦のような大きな休日ではなく、休むところもあれば普段と変わらず営業をしているところもある。

今年のキング牧師デイは19日の月曜日。そして翌日は黒人初の大統領(この書き方には個人的には不満があるけれど)となったバラク・オバマ氏が第44代目大統領の就任式がある。

ということで、ハーレムを始めとしたブラック・コミュニティー、いや、全米で盛り上がっている。今現在でオバマ氏の支持率は80%近く(ちなみにブッシュの支持率ただいま23%。それでも23%もの人が支持しているのかと驚いてしまうけれど。でも麻生政権と比べたらまだ支持率高いんですよね?)。

日本でキング牧師がどのくらい一般的に有名なのかわかりかねるけれど、オバマの選挙のおかげで多少は広がったのではないだろうか。たとえキング牧師のことを知らなくても、先にもあげた『I Have a Dream』については聞いたことがあるのでは?

彼の詳しいバイオグラフィーについてはこちらを参照にしてもらうとして、今年のキング牧師デイはちょっと例年と違った雰囲気が漂っているのであった。

ハーレムに住むお母さんたちで作っているグループのメーリングリストで、こんな投稿があった。

「キング牧師デイに何かをしたい。子どもにキング牧師のすばらしさを伝えたいけれど、何かイベントをやっていないのか」と。それに対する返答で、「バラク・オバマの奥さん、ミッシェルが、一緒に新しいアメリカにしようというサービスの呼びかけをしている」という投稿があった。

さっそくそこのサイトに行って、自分の近所でどんなサービス(つまりボランティア)があるのかチェックしてみたら……たくさん出てくる、出てくる。

その中で子ども向けのイベントを発見したのでそれに参加することに決定!

あたしはキング牧師のものすごいファンではないけれど、彼の残した功績というのは、黒人だけでなく、マイノリティーであるラテン系、アジア系の人たちにたいしても通じるものがあるので尊敬している。

今の時代は牧師の生きた時代よりも、表向きとはいえ、いろんな肌の色をした人たちの人権は守られ、人は平等に生きることを許されているように思える。なので、60年代のような不当な差別は目に見えるほど受けることはないので、想像がつかないかもしれない。

でも差別はまだまだ日常的に行われてはいる。
正直な話、黒人とのハーフの息子を産んだとき、60年代とは違うとはいえ、息子はどういう目に見えない差別を受けながら生きていくんだろうと不安に思った。

ところが今回、バラク・オバマが大統領になる。
彼に対しての暗殺計画が過去の大統領と比べて、すでに過去最高とか、シークレット・サービスの数が過去最高とか言われているけれど、彼が大統領になるということは、アメリカにとって、大いなる前進。

肌の色に関係なく一つのテーブルを囲んで食事をするということが、現実になりつつある。

今までは、キング牧師デイというのは全米の大きな運動というよりも、どちらかというとブラック・コミュニティーだけの運動のようなイメージがあったけれど、もしかしたら、今年からちょっと違う意味合いがもたれるのではないかと思っているけれど、どうかしらん。


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[2009年01月09日00時00分00秒]
宴の後で

『ハーレム』と聞いたら何を想像する?

女性に囲まれてとろける顔をしている男性?(このハーレムの英語のつづりはHarem) それともヒップホップファッションに身をつつんだ若者たちの街?(このハーレムの英語のつづりはHarlem)

黒人の都、ニューヨークのハーレムは人情あふれる面白い街。

今回は、クリスマスツリーたちのその後についてです。
(ライター:ナカムラアキツ)



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ちょっと遅いですけれど、明けましておめでとうございます。
今年もハーレムから、ハーレムならではの話題をお送りしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

さて、2009年の第1回目は、お家の中で飾られていたクリスマスツリーのその後についてお伝えしたいと思います。

ハーレムから、と書きつつ、今回の取材場所はお金持ちのみなさんがお住みの、アッパーイーストサイドからです(笑)。

お金持ちって言われても〜とお思いかもしれませんが、本当にすんごいんですわ。まさにニューヨークの社交界に出ていらっさる方たちが住んでいる場所。
シャンデリアが普通にあって、年代もののカーペットが引いてある。もちろんエレベーターじいさんがいたりとまあ、「絵」に書いたような世界が広がっています。

不景気なんて関係ないね〜って感じですね。





いい感じにごろん、と転がされておりますな。




ちょっと横に移動したら、こーんなにも使い捨てられたツリーの残骸が。
ちなみにこの高級マンションには、多くの駐在日本人が住んでいる。
ほら、ダブル給料だから、こういった高級マンションに住めるんですよね。



こんな風に、寂しく1体だけで捨てられていたり……



中には、こんな風に身ぐるみをはがされていたり。



まあ、通常はこんな感じに捨てられています。



と、簡単に見てきましたが、あるわ、あるわですんごい量。
とても不景気とは思えない。

でも、今年は売り切れなかったものが多かったのか、街角にある花屋からリースがどんっと捨てられたりしていた。

あたしはなんだか資源を無駄にして、こういう光景を見る度にいやだなあっておもっていたけれど、ちゃんとリサイクルされるとのこと。

もちろんお箸などにはならないけれど、おが屑にされて、セントラルパークに撒かれたりするらしい。再利用されるんであれば、安心して買うことができる(って、そういう問題なのかなあ)。

これで輝かしかったホリデーシーズン、宴が終わり、静かなニューヨーク。
今後はバレンタインデイまでイベントがないから、雪まみれの、寒い冬がやってくるのであった。



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