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[2014年11月20日00時00分00秒]
お目こぼしのお話 デイリーSKINちょっとコラム

お目こぼし

 仕事で色々な対人援助などに取り組んでいます。

 ある生活保護を受けていた人を支援しているのですが、先日、この人と市税事務所に言った時のお話です。

(ライターFT)

お目こぼしのお話 デイリーSKINちょっとコラム


 「お目こぼし」何とも言えない言葉の響きです。

 言葉の意味は、「とがめるはずのことを、わざと見逃すこと。大目に見ること。「不正を―するわけにはいかない」「お―を願い出る」

 こんな意味合いになります。

 実は私、ある支援相談機関でパートタイムをしているんです。簡単に言うと生活困窮者支援になります。様々な事情で生活困窮に陥ってしまった人を、生活困窮から抜け出す相談などを行っています。

 先日、Iさんという60歳手前の人から、電話があり内容を聴くと「市税の督促が来ている」ということでした。Iさんは今年の3月から事情があり生活保護を受給していました。
とても真面目な方で、生活保護を受給するのさえ当初、拒否していたんですがどうにもならないので生活保護受給して、就職活動頑張っていたんです。

 すでにIさん、生活保護からは抜け出せたのですが、どうにも市税の督促状が気になっていて、役所のケースワーカーに事情を説明すると、「市税事務所に相談に行って下さい」と言われたそうなんです。

 本来であれば、生活保護受給中の場合、市税の収納期限内と生活保護受給中に市税事務所に減免、免除の申請をしておけば、納付猶予、減免、もしかしたら免除になっていたのですね。

 とにかくその書類を持ってIさんと一緒に市税事務所に減免、減額の申請をする為に同行したんです。このIさん、とてもイケイケの人物で、人はいいのですが怒るタイミングが非常に難しい。しかも怒ると手が付けられない。

 市税事務所の受付を済ませ、Iさんが呼び出され相談窓口に行きました。

 そして生活保護を受けていた事情と仕事が決まったばかりで、すぐに一括では市税を納付出来ないので、何とか減免、もしくは免除してもらえませんか?とお願いをしました。対応してくれたのは20代半ばのとても美しい女性でした。

 最初にも少し書いた通り、市税は納付期限内、生活保護受給中の申請でなければ受け付けられないという予想通りの回答でした。

 ここで私はIさんの今までの経緯や支払えるお金が無いという事で、色々と交渉したんですが、頑として規則は規則ということでした。そこでIさんが一言。

 「そこを何とかなりませんか?何とか、お目こぼししてもらえませんやろか?」

 すると市税事務所の相談窓口の若い女性は、みるみる真っ赤な顔になり、

 「えっ、なんですか、えっ!」

 完全に狼狽えだしたのです。私も横にいて何だろうと思いました。続けてIさんは、

 「お目こぼしですやん、私の事情というのを察してもらって、何とかお目こぼしをもらえませんやろか?」

 Iさんは、相談窓口の女性にすがるような表情で訴えました。すると市税職員女性は、真っ赤な顔がさらに真っ赤になり狼狽えています。

 「いやっ、はいっ、その、えーと」

 Iさんは怒るタイミングが読めない人物、市税職員女性に対し、大きな声で真っ赤に硬直した表情で

 「さっきからゆうとるやろぉ!!!お目こぼしできひんのかちゅーとんねん!おめこぼしやぁ〜、お•め•こ•ぼ•しィ!」

 横で一緒にいた私は、状況をようやく理解しました。

 彼女は「お目こぼし」という言葉を理解していなかったのです。

 若い女性、しかも美しい女性に対し、Iさんは大きな声で何度も「お目こぼし」という言葉を連発したんですね、しかも大きな声で(笑

 関西では非常に放送コードに引っかかり兼ねない3文字が入っていたんですね。

 なんて可哀想な女性職員‥…

 「お目こぼし」こうした言葉は若い人はあまり使わないのだろう。

 横で、怒りながら「おめこぼし」を怒号しているIさんを見ながら笑いをこらえきれなかったのは言うまでもありません。











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