今日はキノコさんが発熱の為、FTが代わりを務めさせて頂きます。
早く元気になって下さい、キノコさん^^
皆様も気候がメチャクチャになってますので、体調管理は充分に!
画像は有りませんが暇つぶしに!
入院生活1
肩の脱臼クセがひどくて手術した事がある。
50日の入院生活だった。整形外科に入院していたので病人と言うより怪我人だらけだ。
スキンヘッドの強面のニーちゃん、少し頭のイカれた向かいのベッドのオッサン。色々と面白い奴らが入院していた。
入院生活も半ばを差しかかった頃、突然夜中に停電になった。隣の部屋の寝たきりの老人に取り付けられていた機械が動かなくなった。命に関わる一大事で看護婦達はどうしようも無く慌てふためいていた。
スキンヘッドの強面のニーちゃん、彼は辻井さん(仮名)と言う人で入院前は電気工事の仕事をしていた。辻井さんはタクシーに跳ねられ、車椅子の生活を1年半も送っていた。その辻井さんが停電時に自分の持てる知識と技術を活かし、別の電源に上手く寝たきり老人の電源を繋ぎ、寝たきり老人の命も繋ぎとめた。
辻井さんは車椅子で不自由だったので歩けるオレは辻井さんの指示に従いアシスタント的な仕事をした。それから凄く仲良くなりほぼ毎日辻井さんとたわいも無い話をして過ごした。
ある夜、夏場だったので暑さで眠れないオレは、真夜中の面会室でタバコを吸っていた。真っ暗の病院は何とも言えない程不気味だ。面会室の隣にトイレがある。そこから女の苦しそうな声が聞こえて来た。女便所からだ。
押し殺したようなか細い声が個室の中から聞こえて来た。とても苦しそうな声で面会室にいたオレはかなり怖くなった。病室に戻ろうとしたけど怖かったのもあってその場でじっと息をこらして耐えていた。しかし、その声は止む気配は無い。
意を決したオレは女便所に入ってみた。車椅子が置いてあった。鍵がかかっている個室の前に立った。どうやら幽霊やその類いでは無い。下世話な話だけど、誰かが致している声だった。オレは完全に興奮していた。心の中で
『ものすげーエロいやんけー』
と思い、誰が致しているのか突き止めてやろうと思った。音を立てないように隣の個室に入り、便座の上に乗り隣の個室を覗いた。手術した肩の痛みもそっちのけで完全にデバガメ野朗と化していた。
辻井さんと病棟の中でも一番ブッサイクな看護婦さんだった。少し失礼な表現だけどホントにブッサイクな看護婦さんだった。優しくて気の付く看護婦さんでブッサイクだけどワリと患者からは慕われていた、絶対にそんな事をしそうに無い看護婦さんだった。
常々、辻井さんはオレに『嫁が一番やで!』と言っていた。事実彼の奥さんはとてもキレイな人だった。
次の日、その看護婦さんがオレの体を拭きに来た。完全に固まってしまったオレにその看護婦さんは『体の力を抜いてくれへんとキレイにできへんよ』と優しく言った。オレは耐えられず、
『自分で拭きます』
と言い、タオルを貰った。その日から看護婦さんの目をまともに見れなかった。辻井さんには何も言わなかったけど、心の中でニヤリとしながら『ウソツキ』と思っていた。
入院生活2
心臓病で6年前に軽い手術をした。カテーテルでの手術。約1ヶ月の入院だった。
保険に加入していたので保険屋が書類を持って来た。保険屋は来る途中、スピード違反でオービスに引っかかったようでオレに愚痴っていた。オレは『それは呼び出しが来てもシカトするのがいいよ!』と言ってやった。
ホントはしてはいけない裏技を色々と伝授してあげた。保険屋が帰った後、隣のベットの患者がオレに『良く知ってますね』と話しかけて来た。オレは『いや、シャレですよ!シャレ!』と言ったのだが、その患者と言うのがなんと
『交機の警官』
だった。
確かに大柄でいかつい感じのオヤジだった。面会に来る客もその患者の事を『班長』と読んで慕っていた。そこで気が付くべきだった。時すでに遅し!シャレで済まそうと思ったけどオヤジの追求はシツコイ!オレはヤバイと思い、どうやって逃げるかを喋りながら考えた。
その患者は無呼吸症候群の酷いので入院していた。イビキがハンパではない。130デシベルくらいありそうだ。同じ病室の人も彼のイビキで眠れない。そこを突いてやった。
結果、適面だった。
オヤジはかなり申し訳なさそうな顔をしながら、ベットを立った。15分後、耳栓を買って来てみんなに配っていた。オレは心の中で『もう、持っとるわい!このポリッ!』と思った。
オヤジのイビキの凄さはハンパでは無かった。全く耳栓を物ともしない。同部屋の患者もホトホトあきれて婦長さんにクレームを言っていたけど、オレを含めビンボーな患者達は我慢せざるを得なかった。
オレが入院して2週間程してようやく『ポリ』は退院して行った。残った患者同士でささやかなお祝いをした。酒は飲めないので自販機のコーヒーで乾杯!
オレもかなりひねくれているけど他の患者もかなりひねくれていた。
『ポリ』が退院した後で一人の患者が『イビキで入院すんなや!ポリのクセに!』
とアクタイをついていた!
おかしかった!妙な連帯感が生まれていた。