(ライター:チュロス)
家にもどりし妻お里は薬たずさえ、心せくせく狼谷までもどってみたが、
夫の姿がみえずにびっくり!
「サワイチさんとしたことが、私の戻りを待ちかねて先に行かしゃんしたか」
夫を心配して壺坂寺まで登って捜してみたが、なんで知れよう夫の姿
「コレはしまった!」と、
胸の動悸は高まるばかり、きびす返して、あわてて戻った狼谷
足の痛みもなんのその、
「どごでござんす、さわいっつぁん!」
「怪我でもして倒れてはござんせんか!」
「私の声が聞こえたら、返事しておくれやす〜!」
(ここで別れていつの世に会えようものぞ会わせてたもれ観音様!)
「サワイチさ〜ん!」
あちらこちらを捜すうち、ふと見ればサワイチが家を出るときまとうて出でし神子の羽織、
袖たたみにして岩の上杖に草履を通して立て掛けてある。
見るよりお里は切れんばかりに泣きじゃくり( p_q)エ-ン
「恨みますぞえ、さわいっつぁん!」
シャクでも無いのに嘘ゆうて、私を家に戻しておき、
お目の開かぬをくになされ、谷へ入って死なしゃんしたか…( p_q)エ-ン
死ぬなら死ぬでなぜこの里におっしゃってはくだしゃんせぬ…( p_q)エ-ン
「目の見えないのに一人で死んで、弥陀の浄土に行く道は、誰を頼りにゆかしゃんす…」
「サワイチさん!男の心は薄情な、女子の心はそうじゃない…」
「あなた一人はやりませんよ」と飛び込こむと、
観音様の姿が現れて、ふたりは生き返えり、サワイチ両眼全開という、いとめでたの物語。
つづかない