HOME > MONTHLY SKIN > 2月号> The Tour of Soy Sauce Factory…“Dai-sho”




〜醤油工場見学レポート〜
大阪・堺にある醤油造りの老舗
大醤株式会社

工場見学に至るまで・・・
 

まず初めに、この大醤さんを知るきっかけになったのは、とあるイベントに参加した時である。
そのイベントには、様々な商品や製品が出展していた。
そこで、ふとあるモノを発見!その名も「泉州かけ用醤油」
大阪人として、“泉州”のかけ用醤油とはなんぞやと興味を持ち購入した。
偶然にもそのお醤油が大醤さんの醤油だったんです。

まだそのことには気づかず、帰ってさっそく使ってみた。
とてもマイルドで、ほどよく甘味があり、上手いと感じた。
今まで同じものばかり使っていたのですが、なかなか良いモノを発見できたと嬉しい思いで
この「泉州かけ用醤油」は、どこで作られているのかを調べてみた。すると・・・
なんと大阪・堺ではないか!しかも、工場見学まで行っている!
気づいた時には、もう電話で取材を行いたい・工場見学を行いたいと申し込んでいました。
その申し出を大醤油さんは快く引き受けてくれました。

 
大醤株式会社 (旧河又醤油)
 
歴史
 
工場見学に行くにあたって、まず大醤さんのことに興味を持ち色々と調べていく上で驚くことがありました。
まずはその歴史の深さに驚きでした。
大醤さんは寛政12年(西暦1800年)に河内屋又兵衛氏が、河又醤油を創業。
後の昭和45年(西暦1970年)に現在の大醤が設立されました。
 
 
室町時代、大阪・堺は東洋のベニスと呼ばれるほど活気のある町でした。
その後、1700年代・江戸時代初期から中期にかけて、
堺の町は発展を続け、200軒近くの醤油屋があったと
記録されております。
しかし、現在に至る300年の間に残ったのは
この大醤さん1軒のみとなりました。
300年!そんな長い間、残っている会社を
知っているかと聞かれれば・・・
答えは???しか思い浮かばない!
その長さが、その深さがどれほどのものなのか
計り知れない程の歴史を持っているとしか言葉が出ないです。
photo01
またこの大阪・堺に昔、200軒近くもの醤油屋があったことにも驚きました。
それだけ多くの醤油屋があったので当時、江戸に醤油を運んでいたという記録も残っていていました
現在では、この大醤さんはその200分の1の唯一の会社であり、
大阪を誇る醤油造りのエキスパートで、それだけの長い歴史と伝統を今も尚守り続けてるのです。
 



工場見学レポート〜醤油ができるまで〜

醤油の原料
 
■ 大豆・小麦・食塩・麹(こうじ)菌
→麹菌についてはコチラ
→醤油の豆知識
 
醤油ができるまで
 
【製造工程】

■仕込み
まずは醤油のもととなる原料を見せていただきました。
その主な3つの原料であるのがこの3つになります。
photo02
photo03 photo04 photo05
炒って挽き割った小麦
脱脂加工された大豆
国産の食塩
 
一目見た時は何か分からないくらいの量を貯蔵されてありました。
これに麹菌を加えた、たったこの4種類の原料から醤油って造れるんだと初めて知りました。
大豆・小麦の二つに麹菌をまぶして麹室に広げます。
これを三日二晩寝かせることで、麹菌が全体に繁殖し、醤油麹を造ります。
 

photo06
■ 発酵
次に、できた麹と食塩水を混ぜ、この発酵槽で仕込みに入ります。
発酵槽の中は残念ながら見ることができなかったのですが
その高さから、中身がどんな風になっているか想像もつきません。
またこの熟成させてある長い半年の間、全て発酵槽にまかせるのではなく
定期的に、また季節などの時期に合わせてその様子や温度・湿度を調節し
その作業・発酵槽で、菌が最も活発に働けるよう仕込むのです。

この醤油麹と食塩水の混合物が‘諸味(もろみ)’です

諸味がある部屋は、この季節なので扉をあけると
ぶぁっと熱気を感じました。
見ることができたのは、入り口から少しくらいでしたが
それはもちろん衛生面を考えた上でのことです。
一番デリケートな部分ということですね。

 
 
■ 諸味
photo07-09
 
 
■ 圧搾
熟成した諸味を布で包み、何枚も何枚も重ねたものを圧搾機に
かけ、上からゆっくりと圧力をかけていきます。
こうして搾り取られた醤油が、生醤油(きじょうゆ)・生揚げ(きあげ)と呼ばれるものです。
圧搾機に残った布は、その後粗剥ぎ機にかけられ、
布と搾りかす・醤油粕(しょうゆかす)に分けられます。
photo10
>>圧搾機
photo11
>>醤油粕
■ 醤油粕
この醤油粕も大切な原料から生まれたものなので無駄なく、
主に家畜などの飼料として利用します。
 
  photo12
■ 火入れ
文字通り、出来た生醤油・生揚げに
熱を加えて殺菌します。これを火入れと呼びます。
火入れを行うことで、菌の繁殖を抑制し、
できた醤油の品質を長く保つことができます。
 
■ 完成
その後、製品を一つ一つ丁寧に検査します。
無事検査を通ったものをライン式にボトルや瓶に
詰めていき、ラベルが貼られ完成となり、
私たちの食卓に並び、業者様へ卸されます。
 
 
この一つ一つが各業者さんへ運ばれていきます。
これだけ大量のものが運ばれるということは、様々なお店で普段何気なくいただいている
醤油やたれも大醤さんの商品かも知れません。
 
 
■原料一覧
photo13


社長からのお話
 
現在大醤油さんでは、全体の3分の1を一般の家庭に向け
醤油をはじめ、だしやポン酢、その他の調味など
全部で14種類の商品を私達の食卓に提供しています。
また残りの3分の2を、食品メーカー・外食産業などの
業者様向けに卸しているとのことです。
またその中には、他店との差別化を図りたい
自社製品の長所を引き出してくれるスープが必要といった
相談を受ける一つの解決策として
めんつゆ・調味醤油・焼肉のたれなどの
オーダーメイドを提供してします。


 
オーダーメイドで無理なお願いはなかったのですか?
―ある焼肉店のお話です。
photo14
これだけ多くの商品を造り揃えている大醤さん
普段お使いの醤油が大醤さんの醤油やぽんず
だしなどがあるのではないでしょうか?
 
ある焼肉さんでは、料理長がそのお店に出している焼肉のたれを自ら作っていたのですが
ある日その料理長が突然辞めてしまいました。そこで、一つの問題が出てきました。
なんと、その焼肉店の秘伝のタレを作れるのは辞めてしまった料理長ただ一人だったのです。
そこで、駆け込み寺のように、ここ大醤さんに相談来たのです。
通常1店舗のみで、オーダーメイドの焼肉のたれをつくるということはほとんどないのですが
その焼肉店の目玉でもある秘伝のタレ、どうにか大醤さんで作っていただけないかという
オーナーさんの切実な願いを叶えるために、その1店舗のみの焼肉店のために、
秘伝のたれを完全レシピ化をしたことがあるそうです。社長はその話を「困っておられるお店に対して、協力するのは私どものつとめです」とおっしゃっていました。
様々な角度からお客様のニーズに答えているんだなと感じました。安定したダシ作り・タレ作り、安定した味を再現するために完全レシピ化など、多くのお客様のニーズにおこたえしています。

 
長い歴史の中で変わったこと・また逆に変わっていないことは?

―もちろんこの200年の間に大きな変化はありました。
昔は今のような醤油造りの大型な機械はなく、全て自然の力や人間の力で作業を行っていました。
天然で行えば、1年〜2年はかかる醸造も、現在では、タンクで温度や湿度を管理することにより
その時間を半年に縮めることが可能になりました。
また諸味をこす作業もフリーラン(手絞り)で行っていました。
もろみをしぼるのは大変な作業の一つで、それを今は圧搾機で何回かに分け
何百トンの圧をかけれるため、その手間を省くことが可能になりました。
それは醤油造りにかけてのスケールが、近代になればなるほど大きく変わったことです。
 
醤油を作る上でとても重要な麹菌も純粋培養が可能になり、味を安定させることができました。

また、オーダーメイドや完全レシピ化などのお客様のニーズが多様化していく時代と共に
そのニーズも様々なものが増えてきたことです。
 
逆に変わらないものは、醤油造りの原理は何も変わっていません。
また麹菌も純粋培養が可能になったことで、同じ麹菌を使い続けることが可能になりました。

 
photo15
1800年に河内屋又兵衛が創業して以来
時代の変化と共に、様々な変化がありました。
醤油造りにかけては、そのスケールは
近代になればなるほど大きくなりました。
でも長い歴史の中でも、変わらないものもあります。
醤油造りの原理・醤油の麹菌が挙げられます。
今もなおその伝統を守り続けいているのです。
その時代に合ったお客様のニーズにこたえていく中で
食づくりを通じて豊かな社会の実現の経営理念をもとに
多くのお客様に満足していただける
商品提供に励んでいます。


奥様手作りのれん
>> なんと社長の奥様手作り!!風情漂う素敵なのれんです。


工場見学を終えていただいた、記者も一押し!!数々の一品〜
 

 

「キムチぽんず

大醤さんの一番人気の商品でもあるこの「キムチぽんず」
キムチのピリッとした辛味とゆずの香りの
アクセントをされた旨味と辛味の融合。
様々な食材や料理に幅広く利用できます。
SKINスタッフオススメ美味しい食べた方
冷奴に醤油を使用する代わりに、この「キムチぽんず」
キムチぽんず
 

だししょうゆ

「だししょうゆ」

本醸造濃口醤油(遺伝子組換えでない)をベースに、
かつおだし、昆布だし等を配合して
化学調味料を使用していない、安心・便利なコクのあるお醤油です。

SKINスタッフオススメ美味しい食べ方。
トーストにバターを塗り、そのあとサッとこの醤油だしを
トーストに醤油を軽く降らせる、バター醤油トースト。

 
 

 

「おでんのつゆ」

昆布とカツオのいい香りがするこのおでんのつゆ
どこか懐かしい香り・味
この寒い時期には必須です。水でお好みの薄さにし
好きな食材で煮込むだけ、あっという間にお手軽おでんのつゆ

SKIMスタッフオススメ美味しい食べ方
やはりおでんです!
水の量はお好みで
貴方の一番好きな味を探してみてはいかがでしょうか?


おでんのつゆ
 

泉州

「泉州かけ用醤油」

冒頭でご紹介させていただいた
この大醤さんの巡り合いを作ってくれた「泉州かけ用醤油」

素材の味を引き立てるかけ専用醤油で
特に同じ泉州特産・水ナスとの相性は抜群とのこと。
他にも冷奴や、玉子焼き、大根おろし、お浸し等
様々な料理にかけていただけます。
実際、試してこれは意外な相性で上手い!と感じたのがポテトサラダです。
ぜひともみなさんも自分に合ったマッチングを試してみてはどうでしょうか?
河内ワインやみりんが含まれておりマイルドな味わいでとっても美味しいです。

 

 
 

会社概要

photo18
会社名:
大醤株式会社(旧河又醤油)
所在地:
大阪府堺市堺区石津北町20
設立:
設立1970年1月 創業1800年(寛政12年)5月
事業内容:
醤油加工品(調味醤油)の製造・販売
TEL:
072-243-0184
FAX:
072-244-0577
E-mail:
info@dai-syo.co.jp
URL:
http://www.dai-sho.co.jp