偉大な漫画家、水木しげると妖怪。日本の妖怪観は完全にこの人が創りあげた。 :: デイリーSKIN

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[2016年10月23日00時00分00秒]
偉大な漫画家、水木しげると妖怪。日本の妖怪観は完全にこの人が創りあげた。

水木プロダクション公式サイトげげげ通信

 水木しげるさんが2015年11月30日に死去した。93歳。

 水木しげるといえば隻腕の漫画家、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者。

 現在の人気妖怪アニメもかなりの影響を受けている。

(ライターFT)

偉大な漫画家、水木しげると妖怪。日本の妖怪観は完全にこの人が創りあげた。


 93歳という長寿だったが、漫画界だけでなく日本の宝とも言える人物ではないだろうか。うちの息子が熱を出して、近くの小児科に連れて行ったときのこと、待合室でみずきしげるの「日本妖怪大全」という絵本を読んでとせがまれ読むと、熱にも関わらず水木しげるの描く妖怪達の絵に引き込まれていた。

 熱でしんどかったはずなのに、「これは?こっちはなんて妖怪?」と引き込まれ方がハンパではなかった。少し古めの本だったので、今の鬼太郎のような絵ではなく原作に近い絵だった。



 とにかく「砂かけばばあ」のインパクトは強烈である。

 誰でも引き込まれるこの画力、凄いと思いませんか?



 水木先生はとにかく昔に描かれた妖怪をモチーフにし描いている。しかし原画を壊さずに水木テイストで仕上がった妖怪達は、さらに威力を増す。



 妖怪画は数多く残されており、鳥山石燕(とりやませきえん)の描いた妖怪をモチーフにしている。上記画像は鳥山石燕(とりやませきえん)の「画図百鬼夜行」で描かれている「ぬらりひょん」である。



 こちらが水木しげる作画の「ぬらりひょん」、初期のモノで、原画にかなり近い。アニメで描かれた「ぬらりひょん」も以下のような感じだ。



 おどろおどろしさがなくなり、少し愛嬌があるけど、その奥には何ともいえない不気味さも失っていない。



 アニメ化にあたりさらに水木先生の元々の絵より、可愛らしく描かれている。



 「ゲゲゲの鬼太郎」の原案と言われる作品が「墓場鬼太郎」、実はアニメ化もされた作品となる。鬼太郎は幽霊族の末裔として、幽霊の子どもとして誕生する。

墓場鬼太郎の登場人物

 内容はかなり怖い、そしてシュール。

 鬼太郎を妊娠している時に、病気でなくなってしまう幽霊族の鬼太郎の父、同じ病気にかかり治療費を支払う為に血液銀行で血を売る母。出産を目前にしやはり死んでしまい、死後、墓に埋葬されたお墓から鬼太郎は産まれてくる。

 墓場鬼太郎はかなりのワルなのである。



 しでに「ねずみ男」も登場し、人間社会をただ客観視するのみで、ゲゲゲの鬼太郎のようなヒーローでもなく、物語のオチもない。

 元々、「墓場鬼太郎」は貸本版として制作された。腹黒い鬼太郎、ねずみ男ばりに性格も最悪、妖怪がした借金を取り立てり、女の子を追い回したりと本来の鬼太郎ではない。



 水木作品としては、夢のある妖怪達でなく、人間の業を描き、私達に警鐘を鳴らしている。

 水木先生の作品を観た、うちの5歳の息子は、完全にトラウマ(笑

 小さい頃、鬼太郎の前進である「墓場鬼太郎」を読んだ私もトラウマだったりした。

 親子揃って、水木作品に衝撃を受けたのは紛れも無い事実である。 

【コラム】気付けば水木しげる先生の「幸福の7カ条」に影響されていた話

 ・著書『水木サンの幸福論』より

第1条:「成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはならない」

第2条:「しないでいられないことをし続けなさい」

第3条:「他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし」

第4条:「好きの力を信じる」

第5条:「才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ」

第6条:「怠け者になりなさい」

第7条:「目に見えない世界を信じる」

 いい言葉、いい教えですね。

(ライターFT)

偉大な漫画家、水木しげるが戦争と死は同じと言った理由


 世の中は美しいことも汚いことも一緒にある。平和な日があれば、争い殺し合う日もまた来る。



 自らも戦時中の爆撃で左腕を無くした水木先生。

 現在のパプアニューギニアのラバウル(現在のニューブリテン島)に送られる。現地の人達と仲良くなり、純粋な人間としての絆まで繋ぐ。戦争という悲惨な状況の中でもこうした現地人との交流は、光を忘れない強さのようなものを感じる。戦争で殺し合いのさなかの出来事を楽しそうに綴っている。

ソトコト 水木しげるインタビュー

 釈迦とかキリストとかエライ人たちは、だいたい同じで、そんなにびっくり飛び上がるようなことを言っているわけではない。金儲けをしようとする人が、彼らの言葉を使って騒いでいるんじゃないかなあ。人間が長生きして、穏やかに死ぬという理想は、釈迦もキリストも違いはないでしょう。結局は「人を助ける」と言っているわけだから、同じようなもんだ。妙な尾ひれをつけると、逆にわからなくなるんだ。だから、私も釈迦やイエスと同じくらいの頭の具合ということかな。ハハハ。

 上記リンク先の最後に、水木先生がこんなコメントを残している。水木先生はお金も否定していない。神と呼ばれた人と同じことを当たり前のようにいっている。神を利用した欲深い人達をほんのちょっと避難しているだけで、「君たちも早く気付きなさい」といっているような気がしてならない。

 安保法案などの問題も含め、水木先生が何を言いたかったのかは簡単な話。安保法案がどうあれ、戦争になると悲惨になるよっていっている。とてもシンプルで心に響く。

 著書「ねぼけ人生」では水木先生が寝惚けて等いられない程に波瀾万丈な人生を送っている様子が記されている。こんなに波瀾万丈で、左腕を無くし、悲惨な戦争を体験しながらも生活困窮や苦労などを感じさせないエッセイは夢をみているかのような感じだ。

 本来の性格が、のんびりとねぼけているような感じなのかも知れない。



 水木先生の、飄々とした雰囲気が何とも素敵な人物なんだと想像出来る。

 漫画家達が若くして死んで行くことに対しても、「ちゃんと睡眠をとるべき」と主張、水木先生に助けられた漫画家さんも多いのではないでしょうか。締め切りに追われ、連載という競争社会の中、命を削ってまで面白い作品が描けるのか、誰の為にやっている?なんてメッセージも聞こえてきそうである。

寝る時間を 犠牲にしていた連中は、 早々とあの世に行ってしまった。



適当にやらないとね、 漫画家は死ぬよ。 寝なきゃ駄目。 食べたいものは 食べないと駄目。 疲れたら 休まないと駄目。

 人生なんて、ねぼけながら生きていても、飯さえちゃんと喰っていれば死ぬまで生きて行けるんだ、そんなことを教えてもらったような気がしますね。

 私達は少し力を抜いて生きた方が良いかも知れない。

 水木先生の名言

戦争で片腕を失っても 絶望なんてしなかった。 だって生きてるんだから。

成功や栄誉や 勝ち負けを目的に、 ことを行ってはいけない。

しないではいられないことを、 し続けなさい。











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